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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4258】白隠政宗 きもとぶれんど(はくいんまさむね)【静岡県】

2020.7.5 21:59
静岡県沼津市 高嶋酒造
静岡県沼津市 高嶋酒造

【B居酒屋にて 全8回の②】

 コロナ感染防止のため、東京などで予定していた飲み会が次々中止になっていった。中止になった飲み会は、たとえば4月だけで6件。出費が抑えられるからいい面はあるが、わたくしの場合、飲み会を、この「日本酒津々浦々」の取材に充てているので、取材の機会が失われ、執筆・掲載に支障をきたすことになる。

 そこで、自力で近所の居酒屋に取材に行かなければならない。当然、酒の銘柄に偏りが出てくるが、正常化までの“つなぎ”だから、止むを得ない。ということで、なじみのB居酒屋の暖簾をくぐる。よもや、このような状況になるとは思ってもみなかった。

 店の冷蔵庫を見て、トップバッターに選んだのは「惣邑 純米吟醸 酒未来」。続いて選んだのは「白隠政宗 きもとぶれんど」だった。「白隠正宗」は当連載でこれまで、9種類を取り上げている。総じて、旨みが少ない、きれいでシャープな口当たりのお酒、という印象を持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 さらっとした口当たりの、淡麗な辛口酒。これが第一印象。香りは抑えている。余韻は辛みと酸。酸がじわじわ後ろに長く続く。「白隠正宗」としては珍しく、やや丸みが感じられ、やや幅のある味わい。それほどシャープさは感じられない。また、エンディングに甘みが少し感じられる。これら、従来の「白隠正宗」には感じられなかった味わいは、おそらく、ブレンドして造った酒だからなのだろう。

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米・米こうじ、全量国産米使用、アルコール15度」にとどまり、どのようなブレンドがされたのか説明が無い。また、蔵のホームページを開いても、どのようなブレンドがされているのかについて記述しているページを探せなかった。やはり、瓶のラベルに「きもとぶれんど」とうたっているからには、ある程度の説明が必要だとおもう。

 これについて、東京都東村山市の酒販店「水新酒店」のウェブサイトは、以下の4種類の生酛酒をブレンドした、と説明している。

・生酛純米酒誉富士 使用米 誉富士 精米歩合65%
・愛国純米酒生酛造り 使用米 愛国 精米歩合70%
・純米吟醸生酛雄町 使用米 雄町 精米歩合50%
・純米大吟醸生酛誉富士 使用米 誉富士背精米歩合45%

 また、同サイトはこの酒を以下のように紹介している。

「2020年1月に蔵出しされた『白隠正宗 生もとブレンド』。高嶋酒造さんの醸した『生もと造り』4種類をブレンドした年に1度の受注生産酒です。1種類のお酒だけでは表現の出来ない複雑な味わいを、多数のお酒をブレンドすることによって獲得した冬季限定酒。各個が最大限に主張しながらもバランスを崩さずに協調する酒質、絶妙な塩梅でブレンドされた辛口食中酒です。奥行きのある味わいながらも軽快に口中を走る旨味と後ギレの良さ、お食事のお供として真価を発揮する白隠正宗ブランドらしい1本。冷でスッキリ、お燗でほっくりの心安らぐ味わいを、是非ご賞味くださいませ」

 使用米の「誉富士」は、静岡県農林技術研究所が1998年、酒米の王者「山田錦」にガンマ線を照射して得た突然変異株10万粒の中から選抜したもの。2009年に品種登録された新しい酒造好適米だ。

 また、使用米「愛国」については、この蔵の他の商品のラベルは以下のように説明していた。

「『神力』『亀ノ尾』とともに水稲3大品種とうたわれた『愛国』。『愛国』の誕生は宮城県館矢間村の蚕種家本多三学が明治22年に静岡県青市村(現在の南伊豆町)の同行者から取り寄せた種子を、篤農家窪田長八郎が試作したことからはじまった。
 最初は登熟が遅くて種子も十分とれなかったが、工夫を重ねるうちに多収を上げるようになり、明治25年に、農家の坪刈りに立ち会った那書記森前太郎が品種名のないことを惜しみ『愛国』と命名したと伝えられる。ちなみに本多に送られた元の種子は青市村の農家高橋安兵衛が発見した『身上早生』であることが後に分かっている」

 酒名「白隠正宗」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「明治17年、臨済宗中興の祖と称えられた白隠禅師に朝廷より正宗国師の国師の諡号(しごう)が与えられる事になった際、勅使として松蔭寺を訪れた山岡鐵舟が出された酒の旨さにし正宗国師の正宗(せいしゅう)と清酒(せいしゅ)をかけて『白隠正宗(ハクインマサムネ)』と銘名」

酒蛙

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