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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4240】竹泉 但馬強力 キモト 純米 生酒(ちくせん)【兵庫県】

2020.6.7 22:16
兵庫県朝来市 田治米合名
兵庫県朝来市 田治米合名

 連れ合いとその姪御2人の計4人での食事会。この組み合わせでの食事会は20年ぶりくらいになるのだろうか。場所は、連れ合いを2回ほど案内し気に入ってもらえたB居酒屋。わたくしの行きつけの店である。このときは3種類の酒を飲んだが、初めて飲んだのは今回の「竹泉 但馬強力 キモト 純米 生酒」だけ。あとは定番酒を飲み、話に加わった。

「竹泉」は当連載でこれまで、3回取り上げたことがある。理由は自分でもよく分からないが、わたくしは、この「竹泉」という酒名に惹かれる。いかにも日本酒らしいというか、凛としているというか。それはともかく、いただいてみる。

 やわらかで、やさしく、そして、さらりとした口当たり。実に飲みやすい酒質。生酛(きもと)仕込みのお酒というと、ガツンとくるゴツい酒を連想しがちだが、この酒はきれいな酒質だった。

 味わいでは、旨みと酸が適度に出ており、わたくしの好きなセメダイン香(酢酸エチル)もやや感じられる。口が慣れてきたら、次第にハリのある酸が強く感じられるようになり、味に芯が出てきた。そして味が強めに出てきた。余韻は苦みと酸と辛み。飲み飽きしない酒質。旨し。時間をかけて量を多く飲みたい酒だった。

 瓶のラベルは、この酒を以下のように紹介している。「緑豊かな中山間地である兵庫県和田山町で、農薬を使う事無く 田んぼで生きる小さな生き物たちのたくさんの力をかりて育った ヨリタ農園のお米・但馬強力を全量使用しています。蔵付き乳酸菌の力を生かしたキモト仕込で醸造いたしました」

 瓶のラベルのスペック表示は「和田山町産 但馬強力100%使用、ヨリタ農園栽培米、製造年月2020.2、アルコール分17度、精米歩合70%、原材料名 米(日本産)米麹(日本産米)」。

 使用米の「強力」は復刻米。中川酒造(鳥取県鳥取市)の酒の箱に入っていたしおりは、「強力」について、以下のように説明している。

「『強力』は大正時代に鳥取県立農業試験場により在来種から選抜育成され、特産酒米として一時期には六千余町歩も生産されていました。
 強力米の歴史は古く、『山田錦』の祖先と言われている優良酒米『雄町』の更なるルーツであるという説もあります。
 昭和20年代の食糧難の時代、反当たりの収穫量の少なさ、尋常でない背丈、大粒の為倒伏の危険といった理由から、特産酒米『強力』は姿を消しました。(中略)
 鳥取大学農学部で、永年、少量だけ育種、保存されていた種籾から、やっと、わずかではありましたが、単一品種醸造ができる量まで収穫することができました。
 低タンパクな米質を重視するため、低収穫量を覚悟の上で減農薬・低窒素肥料などを心がけ、見事、酒米『強力』は復活しました。その強力米と清らかな水を使った地酒がここに蘇りました」

 酒名「竹泉」の由来について、コトバンクは「酒名は、円山川上流の『竹の川』の水を仕込みに用いたことと、蔵元の出身地『和泉の国」に由来』と説明している。

 蔵のホームページのトップページに以下の言葉が掲載されている。「一粒の米にも無限の力あり 竹泉は『空』『風』『火』『水』『地』という自然を表現します」。なかなか含蓄のある言葉である。

酒蛙

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