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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4213】光栄菊 月影 Oyama 無濾過生原酒(こうえいぎく つきかげ)【佐賀県】

2020.4.21 22:57
佐賀県小城市 光栄菊酒造
佐賀県小城市 光栄菊酒造

【F居酒屋にて 全13回の⑪】

 年に2~3回飲んでいる5人グループ。もともとTとわたくしは仕事で知り合い、よく2人で飲んでいた。Tの友人が次々に加わり5人のメンバーとなった。今回の場所は、TT居酒屋時代からお付き合いのあるF居酒屋だ。メンバーのうち1人がドクターストップで欠席。今回は4人で飲んだ。

「北島」「秀よし」「森嶋」「會津宮泉」「五十嵐」「大倉」「生粋左馬」「兵介」「神心」「笑四季劇場」と飲み進め、11番目にいただいたのは「光栄菊 月影 Oyama 無濾過生原酒」だった。

 店主が「このお酒は『菊鷹』(愛知県稲沢市)の杜氏さんが造ったものです。新しい蔵です」と教えてくれた。近年、廃業する蔵は多いが、新しい経営者が廃業蔵を復活する動きが少しずつみられるようになってきた。日本酒ファンとして、うれしいことである。

 このいきさつについて、佐賀新聞のウェブサイトが2019年12月2日付で詳しく書いているので、以下に転載する。

     ◇

 150年の歴史を刻み、2006年に廃業した佐賀県小城市三日月町の光栄菊酒造が新しい経営者の下で再出発した。香川県出身の男性が建物と蔵の名前を引き継いで新会社を設立。8月末の豪雨災害も乗り越え、創業にこぎ着けた。今年は2種類の日本酒を製造し、かつて地域に親しまれてきた「光栄菊」の銘柄で、12月下旬の出荷を目指す。

 東京でテレビ番組の制作を手掛けてきた日下(くさか)智(さとし)さん(53)が酒蔵跡を購入し、昨年12月に会社を立ち上げた。制作した番組は経済や農業分野が多く、輸出が堅調で潜在需要が見込まれる日本酒の伸びしろを感じて独立を決めた。

 佐賀県内の建築家から物件を紹介してもらい、傷みがひどかった屋根は全て張り替えた。貯蔵タンクや絞り器などの設備を一からそろえ、冷蔵施設も新たに設けた。8月末の豪雨でこうじ菌を繁殖させる「こうじ室」が浸水し、大幅な改修を迫られたが、佐賀銀行などから融資を受けて酒造りの環境を整えた。

 元NHK職員で知人の田下裕也さん(38)と2人で創業し、大阪や愛知の酒蔵で経験を積んだ杜氏(とうじ)の山本克明さん(42)が酒造りを担う。山本さんの日本酒は酸味とうまみがあり、切れ味のよい口当たりが特徴という。

 従来の光栄菊酒造は1871(明治4)年、現在の佐賀市富士町で創業した。北山ダムの建設に伴い、1952年に現在の場所にあった蔵を買い取って営業を続けてきたが、需要の低迷などで20年ほど前に酒造りをやめ、06年に廃業した。

 建物の一部を使って漬物の製造を始め、5代続いた蔵を維持してきた合瀬健一さん(67)は「ここで酒を造りたいという人が現れるとは思いもしなかった。最高の形で蔵が生き返った」と喜ぶ。

 年末の最需要期に向けて仕込みは本格化し、今年は一升瓶換算で約4600本の製造を目指す。日下社長は、会社の設立時から助言をもらい、温かく迎えてくれたという県内の同業者に感謝し「地域の活性化に貢献する意気込みを持って、皆さんに喜ばれる日本酒を届けたい」と話す。

     ◇
 
 杜氏の山本克明さんは、「菊鷹」の名を高めた名杜氏として知られる。甘旨酸っぱい濃醇フルボディー酒の「菊鷹」は、わたくしの大好きな銘柄の一つ。この味をつくった杜氏が新天地に移籍したとは。かなりの驚きだった。さて、今回のお酒をいただいてみる。グラスに注いだら、うすにごり酒であることが分かった。

 T 「旨い!」
 N 「これは美味しい」
 D 「にごり酒の王道を行く酒だ」
 T 「シャンパンの代わりになる。美味しい」
 酒蛙「果実的香りは穏やか。濃醇で甘旨酸っぱくジューシーだが、キレが良い」
 N 「バランスが良い」
 酒蛙「濃醇で、エキス感がある」
 D 「たしかに。バランスが良い」
 N 「いやあ、これはいい。飲み飽きしない」
 酒蛙「フルボディ酒。酸がとてもいい。キレも良い。だから、フルボディではあるが軽快感もある」

 全員から大好評だった。あくまでも、個人的な印象だが、この酒に限っては、「菊鷹」に比べると、やわらかさと大人しさを感じた。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、使用米 雄山錦100%、アルコール分14度、製造年月2020.2」にとどまり、精米歩合と特定名称区分が非開示なのは残念だ。食品表示が細分化されている時代にあって、消費者のために堂々スペックを開示し、それから判断を仰ぐべきだ、とわたくしは考える。

 瓶のラベルには記されていないが、ネット情報によるとこのお酒は「天然乳酸菌仕込み」という。つまり、蔵にいる乳酸菌を取り込んで乳酸をつくらせ、雑菌による腐敗を防ぐ「生酛・山廃系仕込み」だ。

 使用米の「雄山錦」(おやまにしき)は富山県農業技術センター農業試験場が1986年、母「ひだほまれ」と父「秋田酒33号」を交配、選抜と育成を繰り返しながら品種を固定、1999年に命名、2001年に種苗法登録された酒造好適米。

酒蛙

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