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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4198】まんさくの花 巡米70 愛山編 30BY【秋田県】

2020.3.28 21:46
秋田県横手市 日の丸醸造
秋田県横手市 日の丸醸造

【日本酒研究会月例会 全4回の①】

 足掛け14年目に入った超長寿飲み会「日本酒研究会」(会場はM居酒屋に固定している)。大層な会名だが、単なる飲み会。異業種間交流にもかかわらず、1回も欠かさず、こんなに長い間月例会を続けるとは、やはりみなさん、酒が好きだからだろう。

 今回、店主がトップバッターとして持ってきたのが「まんさくの花 巡米70 愛山編 30BY」だった。日の丸醸造のお酒は飲む機会が非常に多く、当連載でこれまで、29種類を取り上げている。統計はとっていないが、当連載で一番多く取り上げている蔵ではないだろうか。29種類のうちほとんどが「まんさくの花」だ。この銘柄は近年、酒質が目覚ましい向上をとげており、わたくしは高く評価しているところだ。ずばり美味しいお酒で、どの種類も期待を裏切らない高位安定性を誇っている。

 この酒は「純米」なのだが、ラベルには「巡米」と遊んでいる。これについて、瓶の裏ラベルは「さあ出かけよう、酒米を巡る旅へ」とのタイトルのもと「巡米70は、出荷日によって酒米が変わります。酒米以外は同条件で仕込みを行っています。2019.7雄町 2019.9美郷錦 2019.11愛山 2020.1秋田酒こまち 2020.3亀の尾 2020.5山田錦(年月は出荷時期)」と説明している。

 つまり、「巡米シリーズ」は、使用する酒米が違う以外は全て同じ条件(精米歩合70%、酵母、仕込規模、原酒、一度火入、低温瓶貯蔵)でつくり、酒米の違いを飲み比べてもらおう、というもの。近年、各地の酒蔵でこの試みが行われ、わたくしは非常に好ましいことだ、とおもっている。

 今回の酒は、その「愛山」編というわけだ。瓶の裏ラベルは、「愛山」について、系譜図を載せながら、以下のように説明している。

「『愛山』の系譜図を辿ると『雄町』の遺伝子が色濃く重ねられており、一世を風靡した『雄町』を超える酒米を造ろうとした開発者の意気込みを感じます。現在最も希少価値が高い酒米の一つであり、『雄町』や『亀の尾』以上に入手困難な状況が続いています。今後が最も楽しみな酒米の一つです」

 使用米の「愛山」は、兵庫県立明石農業改良実験所が1941年、母「愛船117」と父「山雄67」を交配。太平洋戦争を経て1949年に品種を固定した。母方の父は雄町系、父方は雄町と山田錦の子という、全身に山田錦と雄町の“血”がたっぷり入っている、酒米界のサラブレッド的出自を誇る。玄米が大粒で、山田錦と同等かそれ以上の、米粒の重さと、米糠割合の少なさのため、酒造効率が良く、酒造に非常に適している、という評価が高かった幻の品種。現在は、兵庫県のごく一部の生産者だけが栽培している。

 今回は「巡米シリーズ」のひとつだが、この蔵は「巡米吟醸シリーズ」もやっており以前、当連載【3462】で「まんさくの花 巡米吟醸 愛山 28BY」を取り上げている。さて、今回のお酒をいただいてみる。

 酒蛙「リンゴのような果実香が華やか。ジューシー」
 SI「いやあ美味しい。いきなり4番バッターが出てきた感じだ」
 M、Y「これは旨い」
 H 「最初にこんな旨い酒が出て来ると、あとから出てくる酒は困るよ」
 K 「文句のつけようがない酒だ」
 酒蛙「とろみがあり、ふくよかでやさしい口当たり。甘旨みと酸味がある。旨みたっぷり。甘旨みがふくらむ。酸がしっかり出ているので、全体としてしっかりとした味わい。フレッシュ感もあり。ひとことで言えば、やや濃醇な旨口酸味酒」
 H 「こんなに美味しい酒からスタートするなんて、実にいいね」
 SA「甘みがあるお酒ですね」

 この酒の瓶の裏ラベルのスペック表示は「特定名称 純米 一度火入原酒、原材料 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合70%、アルコール分16度、原料米 兵庫県産愛山100%、製造年月2019.11」。

 酒名「まんさくの花」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「昭和56年にNHKの朝の連続ドラマ『まんさくの花』が横手市を舞台に放映されたのを機会に誕生した、当社の代表銘柄です。当時主力商品だった『日の丸』のやや重みのある酒質とは違う、『きれいで優しい酒質』への挑戦を志して誕生した当ブランドは、現在でもなお珍しい、ひらがなの墨文字をラベルに採用しました。炭文字自体が珍しかった時代としては、非常に挑戦的なラベルでした。(ご揮毫は今関枝竹先生にお願いしました。(令和)天皇陛下の書道ご進講役を没年まで務められた今関脩竹先生の奥様です)

 また、蔵名および昔からの酒名「日の丸」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「創業元禄二年(1689年)。当社の社名でもある『日の丸』は、秋田藩主・佐竹公の紋所『五本骨の扇に丸印(日の丸・月丸)』に因んで命名されたと伝えられており、明治40年登録商標済の日本で唯一無二の酒名です」

酒蛙

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