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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4190】醸し人九平次 純米吟醸 Le K voyage 2018(かもしびとくへいじ ル・カー ボヤージ)【愛知県】

2020.3.21 12:06
愛知県名古屋市 萬乗醸造
愛知県名古屋市 萬乗醸造

【Z料理店にて 全5回の⑤完】

 近所のZ料理店の店主から電話がかかってきた。「酒屋を変えました。今までに無い酒が入っていますよ」。ここの店主は、わたくしが飲んだことがないであろう酒を取り寄せてくれるので、その好意にこたえ2カ月に1~2回のペースで暖簾をくぐることにしている。しかし、ネタが尽きたようで、酒屋を変えた、ということらしい。

 すなわちこれ、営業トーク。飲みに来い、ということだ。素直なわたくしは、すぐ暖簾をくぐった。店主はMLB、NPB、社会人野球、大学野球、高校野球に詳しく、わたくしは彼と野球の話をするのが好きだ。店主も、わたくしと野球の話をするのが好きなようで、いつも、店主の定位置の向かいのカウンター席を用意してくれる。今回もその場所に「reserve」の置物が。

「寒菊」「川中島 幻舞」「風の森」「澤屋まつもと」と飲み進め、最後5番目にいただいてのは「醸し人九平次 純米吟醸 Le K voyage 2018」だった。「醸し人九平次」は飲む機会が多く、当連載でこれまで、13種類を取り上げている。品のある甘旨酸っぱいジューシーなお酒というイメージがあり、わたくしの大好きな銘柄の一つで有り続けている。

 しかし、この商品は当連載【2999】で「醸し人九平次 純米吟醸 Le K voyage 2016」を取り上げている。当連載では、3種類ほどの一部例外を除き、1商品の掲載は1回だけ、と決めている。だから、今回の掲載を見送ろうか、とおもったが、店主が「どうしてもこれを飲め」と命令口調だし、飲んでしまったし、じゃ、醸造年度が違うから載せようか、となった次第です。100升以上飲んでも、1回しか掲載していない商品もあり、をれらの商品にはごめんなさい、だ。

 テイスティング結果は以下の通りだ。上立ち香は、果実香がやや華やか。含んだとき、「旨いっ」とおもわず声に出る。まとまり感抜群。やわらかく、やさしい口当たりで、上品感に満ちあふれている。甘旨酸っぱい味わいは従来通りで、ジューシー。酸がチャーミングだ。やや軽めの、心地よさ、飲みやすさ。味わい・飲み口で突出した部分はないが、別次元の旨い酒であることは十二分に分かる。造り手の意思とセンスを感じるお酒だ。

 酒名サブタイトルの「Le K」(ル・カー)について、瓶の裏ラベルは、以下のように説明している。

「Kは、醸し人のK。
 Kは、九平次のK。
 Kは、黒田庄のK。
 -voyage
 日本酒を楽しむ旅に出て欲しい。
 そんな思いを込めました」

 サブタイトル「K」のひとつ「黒田庄」について、蔵のホームページは、以下のように紹介している。

「兵庫播磨、黒田庄(くろだしょう)。酒米山田錦の育成条件が揃う数少ない地。この地で僕らは米を育てています。(中略)現在黒田庄町、田高地区において3反の自社田を所有しています。そのため農地の取得に当たり、農業生産法人を設立しました」。黒田庄は、自社田のある地名なのである。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「使用米 山田錦100%、精米歩合55%、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分14度、製造年月2018.12月」

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「桜桃や洋ナシのしっかりした香り、レモンバームや白コショウの香りも。厚みのある甘みと酸味が調和し、かすかな苦みもあり、ストラクチャーがしっかりしています。熟成した果実感があり、柔らかい余韻が長く続きます」

「醸し人九平次」は1997年に登場し、またたくあいだに全国に名を広めた。蔵元・久野九平冶(代々の当主が九平冶を名乗る)さんの名にちなむ酒名である。

酒蛙

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