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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4188】風の森 秋津穂 純米大吟醸 しぼり華 無濾過無加水生酒(かぜのもり あきつほ)【奈良県】

2020.3.20 21:46
奈良県御所市 油長酒造
奈良県御所市 油長酒造

【Z料理店にて 全5回の③】

 近所のZ料理店の店主から電話がかかってきた。「酒屋を変えました。今までに無い酒が入っていますよ」。ここの店主は、わたくしが飲んだことがないであろう酒を取り寄せてくれるので、その好意にこたえ2カ月に1~2回のペースで暖簾をくぐることにしている。しかし、ネタが尽きたようで、酒屋を変えた、ということらしい。

 すなわちこれ、営業トーク。飲みに来い、ということだ。素直なわたくしは、すぐ暖簾をくぐった。店主はMLB、NPB、社会人野球、大学野球、高校野球に詳しく、わたくしは彼と野球の話をするのが好きだ。店主も、わたくしと野球の話をするのが好きなようで、いつも、店主の定位置の向かいのカウンター席を用意してくれる。今回もその場所に「reserve」の置物が。

「寒菊」「川中島 幻舞」と飲み進め、3番目にいただいてのは、「風の森 秋津穂 純米大吟醸 しぼり華 無濾過無加水生酒」だった。「風の森」は飲む機会が多く、当連載でこれまで、15種類を取り上げている。このうち2種類は秋津穂で醸した純米酒だ。今回の酒はその上位クラスで「秋津穂 純米大吟醸」だ。

「風の森」は総じて、甘旨酸っぱい味わいがきれいなジューシー&フレッシュ酒、というイメージで、わたくしが最も好む銘柄の五指に入っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 ラムネのような洋梨・リンゴ似の香味。いかにも「風の森」といった香味で、これもジューシー&フレッシュ酒だ。味わいは、甘旨酸っぱく、中盤から余韻は辛み。やわらかな口当たりで、きれい感のある酒質。適度なボリューム感があり、味の一部分が突出しているわけでもなく、極めて上品な味わいのお酒だ。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「地元の契約栽培米、秋津穂を全量使用。口中に含むと、洋梨のような爽やかな香り。無濾過無加水ならではの膨らみのある味わいとキレの良さをバランスよくお楽しみいただけます。秋津穂は奈良県内30軒の契約栽培農家の方に生産していただいています」
「無垢にして上質   五感で愉しむ日本酒。風の森。風の森には発酵由来の炭酸ガスが含まれていることがあります。消えた後には一層深みのある味わいをお楽しみいただけます」
「風の森は、超低温で長期間発酵を進めることでお米の個性を最大限に表現します。発酵日数32」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、奈良県都〓(示へんに阝)産 秋津穂100%使用、栽培者 中島芳次、アルコール分16度、精米歩合50%、2019BY、製造年月2019.12、仕込水 金剛葛城山系深層地下水 超硬水 硬度250mg/L前後」。

 ラベルでは使用米を「秋津穂」と表示しているが、品種登録名は「アキツホ」。日本国の古い呼び名である「秋津島」の稲の穂、という意味だ。ちなみに「秋津」とは、トンボの古い呼び名。「アキツホ」は農林水産省東海近畿農業試験場/水田作部作物第1研究室が1962年、母「ヤマビコ」と父「日本晴」を交配、育成と選抜を繰り返し品種を固定。1972年に命名された主食用米。現在、飯米用の需要は非常に少なくなったが、酒の原料米に利用されるようになってきている。

 酒名「風の森」の由来について、大和屋酒お舗(広島市)のサイトは、以下のように説明している。

「『風の森』の酒名は同市内にある風の森峠から付けられました。峠付近は、日本で一番早く稲作が行われた地域だといわれ、金剛山麓から強く吹き抜ける風を避け五穀豊穣を祈願して、風の神である志那都彦神(しなつひこのかみ)を祭神とする『風の森神社』が近くの森に祀られています」

 

酒蛙

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