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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4184】陸奥八仙 ISARIBI 特別純米 火入(むつはっせん)【青森県】

2020.3.17 14:02
青森県八戸市 八戸酒造
青森県八戸市 八戸酒造

【T居酒屋にて 全3回の②】

 古くからなじみのT居酒屋。気持ちの良い店だが、店の親方が、我が軍の大天敵というか森羅万象わたくしの一番嫌いな阪神の大ファンとあって、小競り合いもしばしば。よって、しばらく足が遠のいていた。しかし、シーズンオフになってから再び足が向かうようになった。

 この店は、酒の顔ぶれが常時固定スタイルをとる。一方わたくしは、「日本酒津々浦々」の取材のためには、できるだけ多くの種類を飲みたい。このスタイルの違いも、足を遠ざけた要因の一つである。最大の要因は嫌阪神だが。

 今回、最初にいただいたのは「楯野川 たてにゃん 純米大吟醸 vol.7」。続いて選択したのは「陸奥八仙 ISARIBI 特別純米 火入」だった。八戸酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、20種類を取り上げている。中でも「陸奥八仙」は17種類を取り上げている。今回の「ISARIBI」は、以前取り上げた「陸奥八仙 特別純米 ISARIBI 生原酒」(当連載【2012】)の火入バージョンだ。

 さて、ISARIBI(漁火、いさり火)は、イカ釣り船の集魚灯の明かりのことだ。瓶の裏ラベルはこの酒を以下のように紹介している。「夏から秋にかけて夜の八戸港は水平線いっぱいにイカ釣り船が並び、煌々と輝くいさり火は海に浮かぶ夜景のようです。『陸奥八仙 いさり火』はこの幻想的な光景をイメージし、“新鮮な海の幸と共に楽しむお酒”をコンセプトに醸しました」

 蔵のある八戸市は漁業の町として全国的に名が知られ、中でもイカの漁港別水揚量は全国一だ。ちなみに漁港別イカ水揚量ランキング(2017年)ベスト3は以下の通り。①八戸港17,864トン ②函館港7,513トン ③石巻港4,950トン。

 蔵のホームページも、この酒を以下のように紹介している。「『漁師さんの食中酒』というイメージで作られた1本。スッキリとした後味、キレがいい為特にイカやサバといった八戸の名産品に相性が良いです」

 さて、いただいてみる。香りは抑えられ、辛みと旨みをまず感じる。酸は、辛みに付いてくる感じ。中盤から余韻にかけては辛み。酒にまるみがあるものの、基本的にはすっきりした辛口酒。辛みが出ているので、最初はすっきりした口当たりに感じるが、次第に、しっかりした味わいの酒になっていく。繊細な白身魚やイカ、脂の乗ったサバ、イワシなど、八戸港に水揚げされる魚介類すべてに合うお酒だとおもった。「陸奥八仙」は、香り立つ旨口酒が多いが、その中では例外的な辛口酒だった。飲み飽きしないので、食中酒に最適だ。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米・米麹、アルコール分15度、原料米 青森県産華吹雪100%、精米歩合 麹55%・掛60%」。使用米の「華吹雪」は、青森県農業試験場が1974年、母「おくほまれ」(祖母が「山田錦)と父「ふ系103号」(祖母が「ササニシキ」)を交配。育成と選抜を繰り返し開発、1988年に品種登録された酒造好適米だ。

 酒名「陸奥八仙」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「中国の故事、酔八仙(八人のお酒の仙人の物語)では、酒仙たちの様々な逸話や興味深い酒の楽しみ方が語られています。飲む方が酒仙の境地で酒を楽しんで頂きたいとの思いを込めて『陸奥八仙』と名付けました」

酒蛙

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