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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4173】暁 l'aube 2017BY(あかつき)【フランス】

2020.3.9 16:44
フランス 昇涙酒造
フランス 昇涙酒造

【日本酒研究会月例会 全5回の②】

 年が明け足掛け14年目に入った超長寿飲み会「日本酒研究会」。大層な会名だが、単なる飲み会。異業種間交流にもかかわらず、1回も欠かさず、こんなに長い間月例会を続けるとは、やはりみなさん、酒が好きだからだろう。

 今回のトップバッターは、天領盃酒造の「雅楽代 可惜夜 直汲み 無濾過生原酒」。店主が続いて持ってきたのは、「暁 l'aube 2017BY」だった。店主いわく「このお酒はフランス人がフランスで醸したお酒です」。みんな「え~っ!」とびっくり。考えてみれば、メキシコ人がメキシコで醸した日本酒「NAMI」(当連載【4129】)もあるなど、ここにきて、日本酒の国際化が目立ってきた。さて、いただいてみる。まずは冷酒で。

 酒蛙「おおっ、
 Y 「香りが古酒っぽい」
 F 「あれれ?」
 酒蛙「上立ち香が古酒のように香ばしい。これは驚きだ。酸と辛みがあまり感じられず平板な印象だ。味にメリハリがあまり感じられない。飲み進めていったら甘みが出てきた」

 メンバー全員が、熟成香に大いに戸惑う。なんてったって、フランスと日本酒の古酒という組み合わせが、どうしても結びつかず、戸惑うばかりだ。また、日本酒としてもクラシカルタイプをおもわせ、戸惑う。

 わたくしがちが戸惑い、困った表情を見せていたら、店主が助け船を出してくれた。「このお酒はですね、常温か燗酒に向くんだそうですよ」。おおっ、すぐ燗をつけてもらおうではないか。ということで、店主に急きょ、燗酒を所望する。出てきた燗酒は推定温度45度前後。ぬる燗~上燗という、酒の実力が最も発揮できる温度帯だった。燗酒をいただいてみる。

 酒蛙「熟成香はすこし強まる。おおっ、味が膨らんだ。余韻に辛みが出てきた」
 H 「燗酒の方がいいね」
 酒蛙「酸も出てきた。メリハリも出てきた。紹興酒のように香ばしい」

 常温や燗酒に向いている、という店主の説明は大いに納得できるものだった。でも、フランスに燗酒文化が受け入れられるのかなああ??? いささか疑問におもうわたくしだった。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「この酒は伝統的な日本酒に魅了されたフランス人蔵元に共鳴した、覇気ある日本の蔵人たちがフランスで醸した酒。個性溢れる味わいは、食と共に様々な創造を掻き立てペアリングを楽しんで下さい。日々の疲れを癒す甘味と酸味が広がり余韻は優しく、綺麗な酒。チーズやデザートと共に常温やお燗で楽しんでください」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(日本産)米麹(日本産米)鳥取県産山田錦100%(エイチアグリ)、アルコール分14.5度、精米歩合70%、内容量1440ml、製造者 Les Larmes du Levant(昇涙酒造)、輸入者及び引取先 有限会社 酒のはしもと 千葉県船橋市習志野台4-7-11、製造年月2018.05」

 さて、このフランスでの酒造について、日本酒専門店カネセ商店(新潟県長岡市)のウェブサイトが簡潔にまとめた文章を掲載しているので、以下に引用する。

    ◇

 (フランスの昇涙酒造は)2016年5月設立。蔵元であるグレッグ(グレゴワール・ブッフ)が、フランス ローヌ・アルプス地方の小さな街のペリュサンに昇涙酒造(しょうるいしゅぞう)を立ち上げ、3年が経った2019年に日本での輸入販売がスタート。日出ずる国、日本への敬愛を込めて「昇」、日本酒は酵母が発酵中に必死に頑張って流した「涙」、より、一文字づつ取って、昇涙酒造という名前が出来ました。

 グレッグは蔵元であり社長、現場を仕切ってるのは、福井の南部酒造場などで勤めた田中光平さん。そして忘れてはならない陰の功労者 鳥取県の梅津酒造 梅津社長。梅津社長の力がなければ、今の昇涙酒造は存在しないと言っても過言ではない。

 菊口も4期酒造りを経験したこともあり、どうしてもフランスの蔵元に興味があり、弾丸で2019年6月に渡仏。蔵で、グレッグと田中さんと、今ある状況や今後の展望など共有しました。昇涙酒造の夢に当店も乗っかりたいと思いまして、この度特約店としてスタートいたしました。(2019年11月)

 全体的な方向性は、温めて美味しい日本酒。モダンにいかず、クラシックスタイルとに行くあたりさすがだなーと思います。
現地フランスで、日本酒のスタンダードなスタイルを模索し続ける昇涙酒造の応援、宜しくお願いいたします。

    ◇

 もっと詳しく知りたい方は、日本文化の入り口マガジン「和楽」のウェブサイト(https://intojapanwaraku.com/travel/3242/)をご覧ください。経緯を詳細にレポートしています。

酒蛙

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