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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4169】上喜元 翁 生詰(じょうきげん おきな)【山形県】

2020.3.6 14:28
山形県酒田市 酒田酒造
山形県酒田市 酒田酒造

【K料理店にて 全2回の①】

 連れ合いと1年以上ぶりに、K料理店の暖簾をくぐった。夫婦で切り盛りしている小さな料理店。肩が凝らないやや大衆的な料理店だが、味はそんじょそこらの割烹に負けない。わたくしたちは、この夫婦と楽しく語らいながら食事をするのを無上の喜びにしている。しかし、電話予約するたびに「あ、すみません。その日は満席です」との返答が繰り返され、自然に足が遠のいていた。今回、ラッキーなことに満席ではなかったので入店できた。

 最初にいただいたお酒は「上喜元 翁 生詰」。「上喜元」は飲む機会が多い酒で、当連載でこれまで、14種類を取り上げている。この酒は、特定名称酒の区分表示や精米歩合表示もなく普通酒扱いだ。それなのに、生詰めの表示があったり、サブ酒名「翁」を付けたりして、いわゆる普通酒とは様子が違う。これについて、阿部酒店(山形県酒田市)のサイトは「本醸造に2割程度の大吟醸をブレンドしている」と説明している。なるほど、普通酒扱いではあるが、並みの普通酒ではないことがこれで分かる。さて、いただいてみる。

 上立ち香は、果実的でやや華やか。含むと、口の中に果実香が広がる。やわらかで、なめらかな、そしてさっぱり感もある口当たり。旨み、酸、苦みを感じ、すぱっとキレる。透明感のある、きれいな酒質。余韻は辛・酸・苦みがすこし。

 飲み進めているうちに、酸は次第に出てくる。そして、この酸が全体を引き締める。さらに飲み進めていくと、次第に甘みと辛みが当初よりしっかり感じられるようになる。とくに、余韻の辛みが強く、長い。けっこうしっかりした、やや力強い味わいになっていく。それとともに、一時顔を出した酸が再び隠れる。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)醸造アルコール、製造年月19.11」。

 酒名「上喜元」の由来は、コトバンクによると「上質な喜びを生む源になるという意味を込めて命名」と説明している。でも、この酒はなぜ「翁」なんだろうな。そんなに枯れた味わいではなく、吟醸香が華やいでいたけどなあ。

酒蛙

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