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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4160】七本鎗 純米大吟醸 玉栄(しちほんやり たまさかえ)【滋賀県】

2020.3.1 23:02
滋賀県長浜市 冨田酒造
滋賀県長浜市 冨田酒造

【B居酒屋にて 全5回の②】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが2種類ほどある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

 トップバッター「初亀 酒門」に続いて、2番目にいただいたのは「七本鎗 純米大吟醸 玉栄」だった。言わずと知れた「賤ヶ岳の七本鎗」にちなむ酒名だ。「七本鎗」は当連載でこれまで、8種類を取り上げている。総じて、派手さが無い、質実剛健な味わいのお酒、という印象を持っている。今回のお酒はどうか。

 「七本鎗」特有な、独特な含み香。例えるなら、ばあちゃんのタンスの引き出しのような、菌類的な香り。淡麗、軽快で、まろやかな口当たり。最初のうちは味がすくなめだが、三口目あたりから酸が出てくる。わたくしが、「愛想を振りまかない質実な味わいの酒だ」と言えば、店長は「華やかではないお酒ですね」。すなわち、純米大吟醸だが、吟醸香を抑えている印象だ。余韻は苦みと辛み。苦みの方がやや強いか。多くの味を膨らませ、広げるタイプのお酒ではない。つまり、各味の出方がすくなめで、非常に繊細な味わい。時間をかけ、ひとりでしみじみ味わうタイプのお酒におもえる。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「平成29酒造年度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、酒米 滋賀県産玉栄100%使用、精米歩合45%、製造年月2019.12、アルコール分16度」。使用米の「玉栄」は愛知県農業試験場が1954年、母「山栄」と父「白菊」を交配。育成と選抜を繰り返し開発、1965年に命名された酒造好適米。現在は滋賀県を中心に栽培されている。

 酒名の由来について、瓶の裏ラベルは、以下のように説明している。「琵琶湖の最北端、賤ヶ岳山麓の旧北国街道沿いで歴史を刻む酒蔵。銘柄は賤ヶ岳の合戦で武功を立て秀吉を天下人へと導いた加藤清正・福島正則ら七人の若武者『賤ヶ岳の七本鎗』に因む」

 また、蔵のホームページは以下のように説明している。「『本能寺の変』の翌年 天正11(1583)年、信長の跡目をめぐって羽柴(豊臣)秀吉と柴田勝家が戦った『賎ケ岳の戦い』で勇猛果敢な働きによって秀吉に天下人へ道を開くきっかけを開いた七人の若武者、加藤清正・福島正則・片桐且元・加藤嘉明・脇坂安治・平野長泰・糟谷武則を称えて『賎ケ岳の七本槍』と呼ぶ」

 ラベルの字は、この蔵に縁があり逗留した北大路魯山人の手による篆刻を使用。

酒蛙

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