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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4159】初亀 酒門(はつかめ しゅもん)【静岡県】

2020.3.1 22:50
静岡県藤枝市 初亀醸造
静岡県藤枝市 初亀醸造

【B居酒屋にて 全5回の①】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが2種類ほどある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

 今回のトップバッターは、「初亀 酒門」だった。複数の酒を飲む場合、淡麗な酒から濃醇な酒へ、辛口の酒から甘口の酒へ、とシフトしていくのが常道だ。この流れだと、それぞれの酒の本来の味を味わえる。流れが逆だと、次に飲む酒は舌が前の酒の影響を受け、本来の味を味わえない。「初亀」はまず間違いなく淡麗酒なので、トップバッターに最適。そう判断したのだった。

 まずは冷酒でいただいてみる。フルーティーな上立ち香が、一瞬、ほのかに感じた。含むと、キレが極めて良い。味を感じる前にキレてしまう。ひとことで言うならば、すっきりさっぱり超淡麗如水酒だ。

 このような酒質だと燗酒にすれば味が膨らむ傾向にある。そこで湯煎で40℃(ぬる燗)にしていただいてみた。驚いたことに冷酒と基本的に同じだったのだ。ただ、心持ち酸がすこし出てくる。そして、余韻に辛みがすこし出てくる。これは驚いた。近年、甘酸っぱい旨口酒がトレンドになっているが、それとは真逆の酒質。非常に新鮮に感じた。宴会酒に最適。そして、白身魚の刺身や、繊細な味の和風料理に非常に合う酒だとおもった。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分15度、使用米 兵庫県産山田錦(100%使用)、精米歩合60%、杜氏 八重樫次幸、製造年月2019年2月、蔵出年月2019年10月」。

 気になるのはこの酒の名にある「酒門」。酒門の会のホームページは、「酒門の会とは」と題し、以下のように説明している。

「酒門の会とは、最高の品質、最高の満足をお客様に提供する全国各地の地酒専門店有志とその趣旨に賛同する蔵元が一体となり1994年9月に設立した会です。2019年現在、63件の会員酒販店と8場の蔵元で構成されています。『日本酒の世界を創造すること』を存在意義とし、市場を牽引し、且つ新しい市場を開拓し、会員酒販店及び蔵元がステータスアップし、各蔵元の商品をブランディング化していくことを目的とし活動しています。
日本酒の品質向上、日本酒市場の開拓という同じ目的意識を持つ、8つの蔵元にオリジナル酒の製造を依頼し、タンク契約で商品計画から蔵元と酒販店が一緒になり優良商品の開発を行い製造していただいた作品を酒門の会会員酒販店を通じて販売しております。酒門の会 推奨酒は各蔵元それぞれのオンリーワンを目指したコストパフォーマンスに溢れる作品揃いです。酒門の会オリジナル限定酒をぜひお楽しみ下さいませ」

 酒門の会に加入している8蔵(銘柄)とは「明鏡止水」「麓井」「黒龍」「初亀」「瀧自慢」「正雪」「喜楽長」「墨廼江」。この会の事務局は、株式会社「花山」(地方銘酒専門代理店、東京都台東区)。

 酒門の会のホームページは、この「初亀 酒門」を以下のように紹介している。「兵庫県産山田錦を全量仕様した純米づくりの普通酒。初亀の純米酒らしいドライでありながら優しい甘みが特徴」。これには驚いた。この酒は普通酒扱いだったのだ。だから、酒名に特定名称酒の区分を表示していなかったのだ。しかし、スペックからすれば醸造アルコールを使用せず、精米歩合が60%なので、純米吟醸、特別純米、純米酒に相当する酒だ。それなのに、普通酒扱いということは、原料米が等外米(規格外米)だったのだろうか。それならそのようにラベルに書けばいいのに。

 酒名および蔵名「初亀」の由来について、「日本の名酒事典」は「寛永12年(1635)創業。初日のように輝き、亀のように末永く栄えることを願って命名された」と説明している。

酒蛙

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