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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4148】極上黒松剣菱 超特撰(くろまつけんびし)【兵庫県】

2020.2.19 15:04
兵庫県神戸市東灘区 剣菱酒造
兵庫県神戸市東灘区 剣菱酒造

【剣菱 全2回の②完】

 夕方、なじみのうなぎ屋にふらっと出向く。この店のお酒は、何の変哲もない地酒3種だが、店主のおすすめ酒が面白い。「これ、どうでしょうか?」と言いながら毎回、全国津々浦々の酒を1本ずつ持ってくる。この店主酒が楽しみで、うなぎ屋の暖簾をくぐるようなものだ。

 今回は様子が違っていた。店主が待ってましたとばかりに、酒を2本持ってきた。「黒松剣菱 特撰」と「極上黒松剣菱 超特撰」。いわく「私は味の違いが分からないので、違いをレポートしてほしい」。店主はそれぞれを銚子に注ぐ。それぞれ1合強ずつ。テイスティングにしては、かなり相当、量が多い。そして、帰るとき、代金とともに、テイスティングを書いた紙を店主に渡さなければならないのだ。猶予時間1時間のテストだ。柄にもなく緊張する。急いで2合飲んだら、ちょっとホロっときた。

 さて、「黒松剣菱 特撰」に続き、「極上黒松剣菱 超特撰」をいただいてみる。

 熟成香が豊かに立つが、直前に飲んだ「特撰」より熟成香は大人しい。口当たりは、「特撰」よりこちらの方がまろやか、やわらか。味わいでは、「超特撰」の方が甘みと辛みを感じる。辛みは「超特撰」の方が強く、シャープ。鋭角的な辛み。旨みは「超特撰」の方が少なく感じるが、一般の酒よりはかなりある。酸は「特撰」より少なく感じるが、一般的物差しでは十分にある。酸は「特撰」よりきれいに感じる。「超特撰」の方が、味の広がり感がある。また、キレは非常に良く、「特撰」よりもキレがかなり良く感じる。キレッキレだ。甘・旨・辛・酸のバランスが良い。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「口いっぱいに広がる力強い旨みと同時に掛け巡る豪快なキレ。甘みと辛みが絶妙に調和し、互いの個性が際立つ野性味のある口当たりは飲み応え純分。直球で迫りくる味わいはまさに“極上”の一献です」

 裏ラベルのスペック表示は「酒質 濃醇〈極〉旨口、アルコール分17.5度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、製造年月 R1.11.8」。特定名称酒の区分や、原料米の品種名や、精米歩合は非開示だ。

 これについて、蔵のホームページは「剣菱の商品には、精米歩合のラベル表示をしておりません。理由は、毎年異なる条件下で育ったお米のできに合わせて精米歩合を変えているから。すべては、変わらぬ味を守り続けるため。 “肩書き”よりも“味”。それが、私どものポリシーです」と説明している。

 知人の女性日本酒ライターSさんは「この蔵にはブレンダーがいて、同じ味を造り続けるため、毎年、ブレンドを変えている。だから、特定名称酒の区分は、仮にやりたくても出来ないのが実情だ」と言っている。

 酒名および蔵名の「剣菱」の由来についてコトバンクは「酒名は、不動明王が持つ降魔(ごうま)の剣の剣身と鍔(つば)の形に由来」と説明している。

酒蛙

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