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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4141】益荒男 純米吟醸(ますらお)【石川県】

2020.2.13 17:47
石川県加賀市 鹿野酒造
石川県加賀市 鹿野酒造

【B手打ち蕎麦店で 全4回の③】

 山仲間のタケちゃん夫妻との忘年会。タケちゃんが住んでいる約100km離れた街に出向く。場所は、いつものB手打ち蕎麦店だ。ここの店主も友人で、趣向を凝らした、とても美味しい料理を作ってくれる。だから、タケちゃん夫妻と飲むのが楽しい。

「ゆきの美人 純米吟醸 超辛 山田錦 6号酵母」「南部美人 辛口 本醸造」と飲み進め、3番目にいただいたのは「益荒男 純米吟醸」だ。

 鹿野酒造は、現代の名工・農口尚彦杜氏が在籍したことがある蔵として知られ、「常きげん」「益荒男」という二枚看板を持つ。ともに、濃醇酸味酒で力強い酒質。農口流の味わいだ。当連載でこれまで、「常きげん」9種類、「益荒男」を7種類取り上げている。「益荒男」は山廃仕込みの酒が多いが、今回の酒は珍しく速醸仕込みだ。

 今回のお酒は、わたくしがこれまでイメージしていた「常きげん」「益荒男」とは全く違う酒質で、びっくり仰天。旨みと辛みが出ているが、濃醇フルボディー酒ではなく、軽快感のあるお酒だったのだ。ガツンとくる骨太のお酒ではなく、きれいなお酒だったのだ。また、酸が良く出るお酒ではなく、酸はあまり感じられない味だったのだ。これは山廃仕込みではないことに由来するのかもしれない。あと香りは、菌類的婆ちゃんのタンスの開けたときを思わせる複雑なものだった。

 あれも「益荒男」、これも「益荒男」なんだろうな。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分15度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合55%」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 この蔵の主銘柄「常きげん」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「『常きげん』という名は、ある年の大豊作を村人たちと祝う席で、4代目当主が『八重菊や酒もほどよし常きげん』と一句詠んだことにちなんだものです」

 ところで、「益荒男」とは「立派な男、強く勇ましい男子」(広辞苑)という意味。この名の山廃仕込みの酒とイメージとぴったりだ。余談だが以前、大相撲力士に、“白いウルフ”の異名をとる「ますらお」がいたが、こちらは「益荒雄」(現・阿武松親方)と書く。

酒蛙

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