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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4137】刈穂 山田穂 特別純米(かりほ やまだぼ)【秋田県】

2020.2.9 16:46
秋田県大仙市 秋田清酒
秋田県大仙市 秋田清酒

【B居酒屋にて 全4回の③】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが2種類ほどある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

「金陵 月中天」「七賢」に続いていただいたのは、「刈穂 山田穂 特別純米」だった。「刈穂」は飲む機会が非常に多い酒で、当連載でこれまで、14種類を取り上げている。しっかりした味わいで安定感のある辛口酒、というイメージを勝手に持っている。今回のお酒は酒米「山田穂」で醸したものだ。酒米の王様「山田錦」の母として著名だ。いただいてみる。

「おおおっ、すげぇ~~! サイダーだああ!!! ジューシーだああ!!!」。まさしくサイダーの香味。驚きのあまり、おもわず声に出る。こんな「刈穂」初めてだ。若干、酢酸エチル的(セメダイン香的)でもある。落ち着いて味わうと、濃醇のようで軽快で、やわらか、やさしい口当たり。甘みがけっこう出ている。旨みより甘みの割合が多い。サイダー的味わいだが、ガスは無し。酸の出方はやや少ないか。余韻は、やや辛み。キレは非常に良し。う~ん、やわらかくてやさしい酒だが、すごい酒でもある。

 瓶の裏ラベルはこの酒を「刈穂蔵が『山田穂』で仕込んだ特別な逸品。マスカット様の爽やかな香りを持ち、ジューシーでまろやかな味わいです」。なるほど、蔵ではこの香味を「マスカット様」と表現するのか。上品な表現だ。しかし、わたくしに言わせれば、下品ではあるが、マスカットよりサイダーに例える方が、より実態に近いようにおもえる。若い人たちは、サイダーといっても分からないかな? コンビニで売っている三ツ矢サイダーの香味ですよ!

 裏ラベルのスペック表示は「製造年月2019.10、アルコール分17度、精米歩合60%、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 山田穂100%」。

「山田穂」について、白鶴酒造(兵庫県)は自社のホームページで以下のように説明している。

「兵庫県が大正時代に在来品種である山田穂を純系淘汰することにより得られた品種で、新山田穂1号が正式名です。1936年まで酒造好適米として兵庫県で広く栽培されていました」

 一方、山形県酒田市の阿部酒店は自社のホームページで以下のように説明している。阿部酒店は、白鶴酒造がいう「山田穂」の前段階の「山田穂」について語っているようにおもえる。

「『山田穂』とは、明治10年(1877年)頃に兵庫県多可町で優良株から選抜されました。その酒造適正は非常に高く、明治20年代頃には兵庫県多可町周辺で広く栽培されていましたが、栽培の難しさなどから徐々にその姿を消していきました」

 酒名「刈穂」の由来について、蔵のホームページは以下のように紹介している。

「刈穂の酒名は、飛鳥時代の天智天皇(626年-671年)の和歌『秋の田のかりほの庵の苫をあらみ我が衣手は露にぬれつつ』に由来します。この詩は田畑を耕す農民の生活を思いやった和歌といわれており、酒造りをするものにとって深い意味を持っています」

酒蛙

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