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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4130】播州一献 山廃純米 播州愛山(ばんしゅういっこん)【兵庫県】

2020.2.2 14:24
兵庫県宍粟市 山陽盃酒造
兵庫県宍粟市 山陽盃酒造

 なんとこの週は、播州一献づくしだった。火曜日にS居酒屋でフロア係に薦められて「播州一献 七宝 感謝 純米 無濾過生原酒」を飲んだ。一日あけた木曜日にはA居酒屋で、初めて知り合った女性日本酒ライターのSさんから、2日前に飲んだばかりの「播州一献 七宝 感謝 純米 無濾過生原酒」をプレゼントされ、その日、Sさん提供の「播州一献 本醸造」を飲んだ。これだけでも驚き桃の木なのに、これで終わらない。

 さらに日曜日。なじみのうなぎ屋に入ったら、店主が「これ飲みなよ」と持っていきたのが、「播州一献 山廃純米 播州愛山」だったのだ。6日間のうちに、示し合わせたわけではないのに、3種類4本の「播州一献」と出会うとは! これは、「播州一献」とわたくしの間が、ナニガシカの見えない糸でつながっているのでは?とおもいたくなる。あるいはオカルト的なものも感じる。酒飲み人生は長いけど、こんなことは初めてだ。こんなことってあるんだなあ、としみじみおもう。

 さて、うなぎ屋で、「播州一献 山廃純米 播州愛山」をいただいてみる。香りはほのか。ほとんど感じられない。一口目。酸と旨みが口の中で広がる。「おおっ!」。おもわず声に出る。余韻は辛みと酸と苦み。キレが良く、すぱっとキレる。

 旨みにふくらみ感がある。奥に甘みも感じ、温度が上がってくると、甘みがけっこう出てくる。それとともにフルーティーな香りが顔を出し、やわらか、まろやかになる。味のベースは、張りがあり、やや骨太な酸。それに旨み。この酸が辛みを伴う。全体的にボリューム感があり、奥深い味の力強いお酒だった。

 瓶の裏ラベルはこの酒を以下のように紹介している。「播州産愛山の大らかで伸びのあるうまみを、山廃仕込みによるコクによって奥深い味わいに仕上げています。その上でのど越しの切れを演出する酸が食欲をそそる逸品となっています」

 裏ラベルのスペック表示は「原料米 播州産愛山100%、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分15度、精米歩合65%、醸造責任者 壺阪雄一、製造年月2019.10」

 使用米の「愛山」は、兵庫県立明石農業改良実験所が1941年、母「愛船117」と父「山雄67」を交配。太平洋戦争を経て1949年に品種を固定した。母方の父は雄町系、父方は雄町と山田錦の子という、全身に山田錦と雄町の“血”がたっぷり入っている、酒米界のサラブレッド的出自を誇る。玄米が大粒で、山田錦と同等かそれ以上の、米粒の重さと、米糠割合の少なさのため、酒造効率が良く、酒造に非常に適している、という評価が高かった幻の品種。現在は、兵庫県のごく一部の生産者だけが栽培している。

 酒名「播州一献」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「播州一献(ばんしゅういっこん)とは、『播州地域(兵庫県南西部)の豊かな自然の恩恵を受け、作られたお米、播州の水を使い、地酒本来の良さを大切に手間・ひまを惜しまずに醸したお酒をどうぞ』との思いから名付けられました。『いっこん』とは、よく時代劇とかで『ささ、一献』って言っているの見かけたことはないでしょうか? 『いっぱいのお酒』という意味もあります。(三省堂国語辞典より) なので、播州一献とは、”播州産の米と水を使った播州のお酒を、一献どうぞ”という意味です」

酒蛙

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