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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4126】蜂龍盃 蔵出し 原酒(はちりゅうはい)【愛知県】

2020.1.29 13:57
愛知県北設楽郡東栄町 森山酒造場
愛知県北設楽郡東栄町 森山酒造場

【A居酒屋にて 全7回の④】

 酒友オタマジャクシと美女軍団の飲み会が開かれた。この会は、Nオーナーの店について回り、K亭、P店と会場が変遷。今回はA店というわけだ。Nさんは唎酒師ではあるが、日本酒の海外バイヤーの仕事が本業。そして、居酒屋のオーナーを兼ねている、というエネルギッシュな方だ。ただ、生Nさんはいたってシャイ。それでいて、内に秘めた熱い思いが時々ちらっと出る好人物だ。

 一方わたくしは、日本の全現役蔵の酒を飲むことを目指しているが、一人の力では制覇は難しい。このため、複数の方々のお世話になっているが、Nさんも協力者の一人。A店で飲み会を開くたび、わたくしにとっての初蔵酒を何種類か用意してくれる。それがありがたくて、たまらない。本当に感謝、感激だ。

「御殿桜」「三笑」「雪彦山」と飲み進め、4番目にいただいたのは「蜂龍盃 蔵出し 原酒」だった。これも「御殿桜」と同じく、Nさんが提供してくれた、わたくしにとっての初蔵酒だ。本当にありがたい。それにしても、「蜂」と「龍」を組み合わせた酒名なんて、超ユニークだ。では、室温でいただいてみる。

 美女Mさん「お父さんの酒って感じ」
 酒蛙「昭和レトロ的熟成感的クラシカル香味がすこし感じられる。辛い! すごく辛いし、濃醇。旨みもたっぷり。非常に力強いお酒だ」
 ウッチー「ちょっとピリッと来る」
 美女Mさん「お父さんの日々をねぎらう酒」
 Nさん「めちゃ辛い」
 酒蛙「飲み進めていったら、辛みがいよいよ増し、酸も感じられる。ラベルのスペック表示によると、この酒は普通酒とおもわれるけど、かなりレベルの高い普通酒。スーパー普通酒だね。というか、普通酒でこんなに旨い酒はありえない。とんでもない実力蔵かもしれない」

 燗上がりしそうなので、燗酒をつけてもらう。出てきた燗酒は65℃以上の“極熱”だった。

 ウッチー「酸がきつく出る」
 美女Sさん「そうですね」
 美女Mさん「キレが良くなった」
 酒蛙「たしかに酸が際立つ。温度がすこし下がったら、辛みが出て来る」
 美女Mさん「甘みがベタベタしなくていい。このお酒、タイ(鯛)の酒盗と合いますよ」
 酒蛙「たしかに」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「しぼりたて生酒をそのまま暗冷所で寝かせ熟成するのを待って瓶詰めにしました。しぼりたてそのままのコクと芳醇な味と香り、冷やしてストレート、又は、高濃度ですのでオンザロックにもピッタリです。量より質、じっくり味わってお飲み下さい。やや辛口」

 ラベルのスペック表示は「アルコール分18度以上19度未満、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)醸造アルコール、製造年月1.11」。ネット情報によると、このお酒の使用米は「若水」という。原料米を開示している普通酒なんて極めて珍しい。「若水」は、愛知県農業総合試験場作物研究所が1972年、母「あ系酒101」(「あ系酒101」の母は「玉栄」、父は「露葉風」)と父「五百万石」を交配させ育成した品種で1985年に品種登録された酒米だ。

 酒名「蜂龍盃」の由来について、ネット上ではさまざまな解釈がされている。こんなに解釈が分かれる酒名も珍しい。主な解釈を以下に挙げる。

(1)蜂も酔ってしまうほどうまい酒
(2)蜂龍蟹(はちりゅうはい)からとってきたもので、 蜂は『刺す』龍は『飲む』蟹は『挟む』から『さしつさされつ、肴をつまんで呑みほす』ということ
(3)中国の高貴な盃・蜂龍盃の名前にちなんで

 そこで、蔵元さんに直接電話で聞いてみた。それによると正解は(3)とのこと。「(2)も世間で言われているが、それは頓智話です」と蔵元さん。ちなみに、蔵元家のご先祖は徳島県鳴門から現在地に渡ってきたとのこと。出身地にちなみ、酒名を「鳴門」としていたが、いつのころからか「蜂龍盃」に変わった、と蔵元さんが教えてくれた。

酒蛙

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