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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4121】KIHOTSURU ツルダマ(きほうつる)【佐賀県】

2020.1.24 11:35
佐賀県三養基郡基山町 基山商店
佐賀県三養基郡基山町 基山商店

【F居酒屋にて 全13回の⑫】

 仕事を通じて知り合った、気の合う仲間たちと時々飲んでいる。かれこれもう15年くらいになる。今回は8カ月ぶりくらいの飲み会だが、SNSのグループでつながっているから、“しょっちゅう会っている感が”ある。場所はF居酒屋。店主やスタッフのお人柄が素晴らしく、気持ち良く飲めるお店だ。今回は、わたくしたちのために、さまざまな酒を用意してくれた。全部飲まなければならない。

「川鶴」「月の井」「賀茂金秀」「つきよしの」「寒菊」「蓬莱泉」「奥州光」「大和屋善内」「豊久仁」「蔵太鼓」「基峰鶴」に続いていただいたのは「KIHOTSURU ツルダマ」だった。「基峰鶴」の連荘だ。なお、この日は4人で飲んだが、3人は飲み飽きたらしく帰途に就き、ここからはわたくしが一人で飲む。店主がこの日のために用意したお酒は全部飲まなければ、失礼にあたるからだ。

 さて、今回のお酒も、従来からの「基峰鶴」にわたくしが抱いている、甘みと酸が出ている濃醇酒、というイメージとは違うお酒だった。含むと、吟醸香が適度に広がる。甘酸っぱくて、さわやかな酸がチャーミングだ。しかしこの酒は軽快感があり、従来のイメージの濃醇酒とは真逆の厚みだった。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 山田錦100%、精米歩合 麹50% 掛70%、アルコール分15度、杜氏 小森 賢一郎、製造年月1.10」。う~ん、困った。この酒は特定名称酒(大吟醸、純米吟醸、純米など)の区分が表示されていない。前回の当連載「基峰鶴 Calm」の項で、規格外米を使用したので特定名称酒を名乗れず普通酒扱いであることについて書いた。そして、あえて規格外米を使用していることを明らかにしたことは、特定名称酒を名乗らない理由が消費者に分かり、とても素晴らしいことだ、と絶賛した。しかし、今回の酒が特定名称を名乗らない理由がどこにも書かれていない。せっかく持ち上げたのに、落とされたおもいで残念だ。筋は通していただきたい。

 さて、この蔵はツイッターでこの酒について、以下のように紹介している。「基峰鶴×PICFA コラボ酒『ツルダマ』。複雑な味わいと白ワインを思わせるような柔らかく滑らかな酸味が特徴。新感覚の日本酒」。また、ツイッターでは「メンバーの笠原さんに蔵見学をしていただき、基峰鶴の様子を描いていただきました。0.03から0.7までのペンで描く彼の個性豊かなキャラクター達はキャンパスの中で踊っている様に表現されます」と書いているが、第三者には伝わらない文章だ。そこで、2019年9月30日付の佐賀新聞(ウェブサイト)の記事を以下に転載する。

     ◇

 基山町の酒蔵「基山商店」と障害福祉サービス事業所「PICFA(ピクファ)」がコラボした日本酒2種類が1日、発売される。障害者がアート活動に取り組んでいるピクファがラベル制作を担当しており、杜氏(とうじ)の小森賢一郎さん(40)は「日本酒を味わいながら、ラベルの作品を楽しんでほしい」と話している。
 発売するのは「ツルダマ」と「ホシゾラ」の2銘柄で、いずれも720ミリリットル入り2200円。ツルダマはリンゴ酸主体の酸味が特徴で、甘酸っぱい白ワインを思わせるような味わい。ホシゾラは米のうまみをしっかり出しつつ、果実のような華やかな香りを楽しめるように仕上げた。
 ホシゾラのラベルは、ピクファの利用者本田雅啓(まさはる)さん(34)が描いた「ホシゾラ」を使用。福岡市の飲食店の巨大壁画にもなった作品で、華やかな色使いが日本酒の印象にぴったり。ツルダマのラベルは、同じく利用者の笠原鉄平さん(42)が制作し、基山商店での酒造りの様子をペン画で細かく表現した。
 笠原さんは「現地に行って、酒造タンクや麹こうじ室を見学し、和気あいあいと酒造りに取り組む様子を描いた。自信作なのでラベルも楽しんでほしい」と話す。
 両銘柄は、県内外の日本酒専門店などで販売。問い合わせは同商店、電話0942(92)2300。

     ◇

 酒名「基峰鶴」の由来について、蔵のホームページは「国の特別史跡基肄城がそそり立つ基山の山懐を悠然と舞う鶴の優美な姿から名づけられたものです」と説明している。

 今回の酒の名「ツルダマ」については、分からずじまいだった。せっかくの障がい者とのコラボ酒であるのなら、ラベルのどこかにツルダマの意味を書いてほしかった。

酒蛙

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