メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4108】奥 THE MOON 半月 純米吟醸 生酒(おく)【愛知県】

2020.1.11 15:17
愛知県西尾市 山崎合資
愛知県西尾市 山崎合資

【S居酒屋にて 全9回の⑧】

 年に1~2回飲んでいる5人グループ。もともとTとわたくしは仕事で知り合い、よく2人で飲んでいた。Tの友人が次々に加わり5人のメンバーとなった。場所は、酒の種類が非常に多い東京・銀座のS居酒屋だ。メンバーのうち2人が都合がつかず欠席。今回は3人で飲んだ。

「東鶴」「緑川」「花の香」「千代むすび」「白岳仙」「播州一献」「山の壽」と飲み進め、8番目にいただいたのは「奥 THE MOON 半月 純米吟醸 生酒」だった。この蔵のお酒は当連載でこれまで、6種類を取り上げている。うち5種類が「奥」だ。まったりとした口当たりの、非常に個性的なお酒というイメージを持っている。今回の酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「うむ。これも、とろみと丸みのある、まったりとした口当たりのお酒だ」
 N 「まったりですね。本当にまったり。甘みを感じる」
 酒蛙「果実香がほのか。酸がすこしある」
 T 「酸がありますね。今日初めて、まったりした調子がずっと残る酒に出会ったよ」
 酒蛙「そうですね。今日これまでの酒は、メリハリのある甘旨酸酒が多かったからね。この酒は、甘旨みが主体で、ふくよか、やわらか。余韻は苦み。『奥』のDNAがたっぷりある」

 この蔵の主銘柄は長らく「尊皇」だったが、2002(平成14)年から、「夢山水」で醸した酒「奥」を発売している。蔵のホームページは「特約店にて販売する限定流通商品『奥』シリーズについて」と題し、同シリーズのコンセプトを以下のように説明している。

「華やかな香りがあり、しかも出来るだけ濃いお酒を造りたい。この両立は極めて難しく夢のような話です。その夢が、長年の研究の末やっとかないました。奥三河で契約栽培した高品質の酒米『夢山水』を100%使用し、人の手による麹造りと蔵独自のきめ細かなもろみ管理を行う事でこのお酒が誕生しました。アルコール度数18度以上という今までに体験したことの無い”とろみ”のある香りの良い純米吟醸酒です。当蔵の自信作を心行くまでご堪能下さい」

 今回の酒の瓶ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、アルコール分16.5度、精米歩合55%、製造年月19.10」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だが、ネット情報によると、使用米は「夢吟香」とのこと。今回は例外的に「夢吟香」を使用し、「奥」を名乗った。

 使用米の「夢吟香」(ゆめぎんが)は愛知県農業総合試験場作物研究部が、母「山田錦」と父「育酒1764」を交配、2010年に命名、2012年に種苗法登録された新しい酒造好適米だ。

 瓶の裏ラベルには「コンセプト ワーカーズ セレクション」と題し、以下の文章を掲載している。

「我々はいつから、お酒を『頭で飲む』ようになってしまったのでしょう。本来のお酒の楽しみ方は、その土地の風土や造り手の哲学が1本のボトルに表現されたお酒を、それぞれの飲み手が自らの『感性』でもって楽しむことが一番だと考えます。コンセプト・ワーカーズ・セレクションは、このような『感性に訴えるモノづくり』を一番に開発された商品たちです」

 全国の18酒蔵がこれに参加している。「奥」もその一つで、今回の酒は、このセレクションの商品の一つ。セレクションの商品の裏ラベルには必ず、この口上が掲載されている。当連載での「奥」はこのほか、「奥 feeling」(当連載【4015】)と「奥 THE MOON 満月」(当連載【4026】)も、コンセプト・ワーカーズ・セレクションの商品だ。「満月」、今回の「半月」、そして「三日月」もあるとのこと。THE MOONシリーズは熟成度の違いで満月、半月、三日月と名付た三部作という。

 瓶の封緘ラベルが面白い。上から「満月 半月 三日月」の絵。これで「OCU」(奥)と読ませる。遊び心がある。

酒蛙

関連記事 一覧へ