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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4100】三芳菊 SHINKA 純米吟醸 阿波トロピカル 生(みよしきく しんか)【徳島県】

2020.1.3 21:39
徳島県三好市 三芳菊酒造
徳島県三好市 三芳菊酒造

 なじみのH居酒屋の店主から「新しいお酒が入りましたよ」と連絡が入った。おおっ、こりゃ行かなければなるまい。おっとり刀で暖簾をくぐる。わたくしはH居酒屋に、1行解説付きの酒メニューをつくってあげている。これだとお客さまは、知らない銘柄でも、味の見当がおおよそつく。それには、テイスティングしなければならない。

 今回のお酒は「SHINKA 純米吟醸 阿波トロピカル 生」だった。「知らないなあ」と言ったら、店主がすかさず「三好菊です」。あ、それなら分かる。この蔵のお酒は当連載でこれまで、4種類を取り上げている。

 中でも、仰天腰を抜かしたのは「三芳菊 雄町 純米吟醸 生原酒」(当連載【56】)。これは、わたくしの酒人生の中で、一番甘さを感じた酒(あくまでも個人的感想。ほかの人が飲んだら辛口に感じるかもしれない)。また、「ワイルドサイドを歩け」シリーズ?を2種類取り上げている。ラベルのデザイン、酒の味、いずれもぶっ飛んでいる。悪く言えば、ハチャメチャ。良く言えば、発想豊かな自由人。わたくしはこれまで全国約1170蔵の酒を飲んでいるが、この蔵はユニークぶりでは天下一品。最もユニークだ。1/1170。名誉なことだ。

 今回のお酒はどうか。いただいてみる。上立ち香が華やか。含み香は、さらに華やか。吟醸香の華やかさはたじろぐほどだ。まさに酒名の通り、トロピカルフルーツそのものの香りだ。味では、まず酸と甘みが来る。そして辛み。甘みに飴的要素あり。味が厚い。濃厚。ひとことで言うならば、果実香と甘酸が際立つ甘旨酸っぱいお酒だ。

 瓶のラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「酵母が生み出す日本酒のフルーティーな香りを もっと楽しむために生まれたブランド『SHIKA』。『阿波トロピカル』は徳島県産の酵母を使用し、その特性を引き出す仕込み方でフルーティーな香りを引き出しました。
【酵母の故郷】徳島酵母は阿波の温暖な気候と吉野川がもたらす豊かな土壌に恵まれた徳島県で開発されました。
【香りの特徴】トロピカルフルーツを思わせる多彩で濃密な香りが特徴です」

 ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 阿波山田錦100%(徳島県産)、精米歩合60%、酵母 徳島酵母、アルコール分16度、製造年月31.4」。

 三芳菊酒造のお酒やラベルは、ぶっ飛んでいる、と前述したが、この酒のラベルにはぶっ飛び感はまるで無かった。「ワイルドサイドを歩け」シリーズ?と比べれば、雲と泥、月とスッポン。変だなあ、とおもいながら飲んだ。「三芳菊、ふつうのラベルじゃないか、いったいどうしたんだ?」とおもいながらテイスティングしたものだった。

 その理由が後日分かった。ラベルの最後に小さな字で「KURAND」と書いているではないか。ユニークな立ち飲み居酒屋を展開している「KURAND」のPB商品だったのだ。これなら、いつものぶっ飛び感が無いのも道理だ。

「KURAND」のサイトを見てみたら、この酒を「濃醇甘口」「徳島県の三芳菊酒造が徳島県産の酵母を使用し、その特性を最大限引き出す仕込み方でつくったフルーティーな日本酒です。トロピカルフルーツを思わせる多彩で濃密な香りと甘酸っぱい味わいが特徴です」と紹介している。

「KURAND」のサイトによると、この酒のスペック表示は「アルコール度数16%、原料米 山田錦(徳島県産100%使用)、精米歩合60%、日本酒度-6、酸度2.2、アミノ酸度1.7」。

 酒名「三芳菊」の由来について、コトバンクは「『その香芳しく、その色淡く、その味美しき』の意味を込めて命名」と説明している。

酒蛙

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