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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4097】北雪 大吟醸 遠心分離酒(ほくせつ)【新潟県】

2019.12.30 20:18
新潟県佐渡市 北雪酒造
新潟県佐渡市 北雪酒造

【日本酒研究会月例会 全7回の⑤】

 足掛け13年にもおよぶ超長寿飲み会「日本酒研究会」。大層な会名だが、単なる飲み会。異業種間交流にもかかわらず、1回も欠かさず、こんなに長い間月例会を続けるとは、やはりみなさん、酒が好きだからだろう。

「鯉川」「榊正宗」「養老」「寒紅梅」と飲み進め、店主が5番目に持ってきたのは「北雪 大吟醸 遠心分離酒」だった。北雪酒造の酒は当連載でこれまで、5種類を取り上げている。今回と同じ遠心分離酒は「鬼夜叉 遠心分離 純米」(当連載【3437】)を取り上げている。今回の酒はどうか。いただいてみる。

 M、Y「旨い」
 M 「辛みがある」
 Y 「甘みがある」
 F 「大好きな酒だ」
 SI「新潟の酒にしては、どっしりくる」
 酒蛙「上品な味わい。甘旨みがなめらか」
 Y 「大吟醸だが、果実香を抑えているような気がする」
 M 「一口目は辛いとおもったけど、飲んでいるうちに辛みは感じなくなった」
 酒蛙「香りも酸もしずかで上品。後味から余韻は辛みと苦み」

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「酒造りに適した大粒の酒米を45%以下まで磨き上げ、蔵人が心を込めて造り上げた大吟醸酒のもろみを遠心分離機で抽出した限定酒です。もろみの持つ旨味をそのままに、大吟醸ならではのフレッシュな芳香と繊細な味をお楽しみ下さい」

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、精米歩合 麹米40% 掛米45%、アルコール分16度、製造年月2019.11、五百万石十割、51号仕込ト-10」

 主銘柄および蔵名の「北雪」の由来について、日本の名酒事典は「北国の峻烈な雪を表した」と説明している。

 さて、遠心分離酒。蔵のホームページは以下のように説明している。「遠心分離とは、通常のもろみを酒袋(布袋)で搾るという工程ではなく、一切のストレスを排除して劣化や酸化を防止するための現在考えうる最高の方法です。さらに、遠心分離した清酒を、おり引き後に即時瓶詰め、瓶燗処理を行い急冷した後、冷蔵貯蔵しています」

 これではよく分からない。ということで、立ち飲みで知られるKURAND(東京)のサイトから以下の通り引用する。

■遠心分離機について
東京都台東区に本社を構える大正8年(1919年)創業の遠心分離機メーカー『株式会社コクサン』が秋田県総合食品研究センター・醸造試験場からの依頼を受けて共同開発し、平成17年に特許(遠心分離方式による清酒もろみの上槽方法及び上槽装置 特許第3650779号)を取得。世界で唯一製造販売しています。製品名は「吟醸もろみ上槽システム」で35リットル用の「H-130G1H(S)」と60リットル用の「H-130I1H(S)」の2種類があります。導入している蔵元は全国で10社程度とのこと。価格は1台2000万円ほどするそうです。
■遠心分離機を使った搾り方
・吟醸もろみを1分間に約3000回転という遠心力をかけて搾る。
・冷却システムが備わっており密閉された空間で低温を保ちながら清酒を分離させる。
・搾ったあとは清酒・糊・酵母・酒粕にそれぞれ自動的に分けられる。
■遠心分離で搾るメリット
・圧力ではなく遠心力で搾るため酒への過度な負担が少なく雫酒のようなきれいなお酒になる。
・すべてステンレス製なので酒袋独特のにおいが付かない。
・密閉空間で搾るため吟醸香が飛ぶことなく酒の中によく残る。
・同じ条件下で搾るので酒が一定で品質のばらつきが少ない。
■遠心分離機を使うことによるデメリット
・機械が高額なため導入時のコストがお酒の価格に反映され商品価格の割高感が否めない。
・搾りが一定で安定しているが故にあらばしり、中取り、責めなどの飲み比べができない。
 遠心分離機について、そして遠心分離でお酒を搾ることで、とにかく上品で安定して香り高いきれいなお酒になるということがお分かりいただけましたでしょうか。各蔵の遠心分離を使った商品とそうでない商品の飲み比べなどもおもしろいと思いますので、機会があればぜひお試しくださいね。
■遠心分離機を導入している蔵元とその商品の一例を紹介
▽やまとしずく(秋田清酒)秋田県大仙市 ▽勝山(勝山酒造)宮城県仙台市 ▽北雪(北雪酒造)新潟県佐渡市 ▽千代の光(千代の光酒造)新潟県妙高市 ▽開花(第一酒造)栃木県佐野市 ▽獺祭(旭酒造)山口県岩国市 

酒蛙

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