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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4092】千福 吟醸 宮島絵巻(せんぷく)【広島県】

2019.12.28 21:14
広島県呉市 三宅本店
広島県呉市 三宅本店

 なじみのH居酒屋の店主から「新しいお酒が入りましたよ」と連絡が入った。おおっ、こりゃ行かなければなるまい。おっとり刀で暖簾をくぐる。わたくしはH居酒屋に、1行解説付きの酒メニューをつくってあげている。これだとお客さまは、知らない銘柄でも、味の見当がおおよそつく。それには、テイスティングしなければならない。

「千福」は、当連載でこれまで2種類を取り上げている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「酸と甘みを感じる。やや濃醇」
 店主「酸を感じますね」
 酒蛙「中盤から辛みが来る」
 店主「うん、辛みがある。数日前の印象は甘甘におもったけど・・・」
 酒蛙「それは違うね。旨みもある。キレがすこぶる良く、潔くすぱっとキレる」
 店主「吟醸香も感じる」
 酒蛙「うん、そうだね。果実香が広がる。味にメリハリがある。なめらかな口当たり。深い味わいで、力強さもある」

 蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。併せて、ラベル絵についても説明している。非常に親切で、飲み手は大いに助かる。

「広島で長年変わらぬ味わいを守り続ける千福。この千福の果実を思わせる香りと繊細な味わいの吟醸酒を、安芸の宮島 嚴島神社に奉納されている国宝「平家納経」の見返し絵をもとにデザインした、化粧箱に詰めました。広島の歴史とともに、歴史ある吟醸の味をお楽しみください。
 熟したリンゴのような香りと、やわらかな甘さと酸味がバランスよく口の中に広がります。香りが華やかで深いコクのある濃淳な味わいの吟醸酒です」

 ラベルのスペック表示は「アルコール分16.5度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)醸造アルコール、精米歩合60%、製造年月19.08.27」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。しかし、蔵のホームページは以下のように開示している。「原料米 広島県産米[千本錦、八反錦、新千本] (米・米麹・醸造アルコール)、精米歩合60%、アルコール分16.5度、日本酒度数+4.0、酸度1.1」

 原料米の「千本錦」は広島県立農業技術センターが1990年、母「中生新千本」と父「山田錦」を交配。育成と選抜を繰り返して開発、2002年に品種登録された。広島県だけで栽培されている酒造好適米。

 また、「八反錦」は広島県立農業試験場が1973年、母「八反35号」と父「アキツホ」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1983年に命名、1984年に種苗法登録された酒造好適米。今や、「八反錦」といえば広島、広島といえば「八反錦」というほど、全国的に著名な酒米となっている。

 酒名「千福」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「千福という酒銘は、初代三宅清兵衛が女性の内助の功をたたえる意味から 母『フク』妻『千登(チト)』の名をとり酒銘としました」

酒蛙

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