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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4085】房島屋 純米 ひやおろし 6号酵母(ぼうじまや)【岐阜県】

2019.12.22 20:25
岐阜県揖斐郡揖斐川町 所酒造
岐阜県揖斐郡揖斐川町 所酒造

【S居酒屋にて 全7回の④】

 なじみのうなぎ店で日本酒を7種類飲んだあと、S居酒屋に転戦した。このパターンは、今回で5回目になる。この両店はお酒が重複することがないので、効率的にさまざまなお酒を飲むことができる。近年お気に入りの“お約束コース”だ。

「若波」「吟ダッシュ」「鶴の友」「高清水」と飲み進め、5番目にいただいたのは「房島屋 純米 ひやおろし 6号酵母」だった。「房島屋」は、当連載でこれまで、5種類を取り上げている。ガツンとくる、骨太で分厚い濃醇酸味酒という強烈なイメージを長年持ち続けてきた。しかし、この酒は違っていた。

 酒蛙「おや、上立ち香に昭和レトロ感的熟成感的クラシカルな香りを感じるね」
 店主「クラシカル香味がいますね」
 酒蛙「酸と渋みが出ている。この酸は『房島屋』らしい。旨みがやや少なめだが、まろやかな口当たりのお酒だ。温度が上がると、酸はさらに出て、旨みも出てきそうだ」
 K 「奥に渋みがありますね」
 酒蛙「俺の記憶にあった、ガツンとくる濃醇酸味酒という『房島屋』の味わいとは違う。ひとことで言うと軽快酸味酒。飲み飽きしないお酒です」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米・米麹(精米歩合65%)、アルコール分17度、日本酒度+6、酸度1.7、醸造年度30BY」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 この酒は、6号酵母を使って醸したことをラベルでうたい、標榜している。6号酵母は、秋田市の新政酒造の蔵が発祥で、それまで不安定だった酒造りを安定したものにし、清酒酒造業を飛躍発展させた画期的酵母。清酒業界が今あるのは6号酵母のおかげ、と言っていいほどの金字塔的存在。新政酒造は、そのプライドのため6号酵母を使い続けている。

 新政酒造の蔵のホームページは、6号酵母について詳しく書書いているので、以下に転載する。

「五代目卯兵衛の採用した近代的酒造技法によって、自ずと選択された蔵付き酵母。これこそが、きょうかい六号酵母(新政酵母)です。この酵母の特徴は、中~低温での安定した増殖力と発酵力。また一般的な蔵付き酵母と比較して、驚くほど酒の酸度が低く、まろやかな味になる点。そして、なんといっても上品で馥郁たる香りです。
 新政の酒が、新酒鑑評会主席を2年連続受賞するなど、その名声が頂点に達するに至った頃、五代目卯兵衛と花岡正庸氏はこの新酵母を研究の対象にすべきとの意見で一致しました。この頃、日本醸造協会は、失敗がつきものだった酒造りを改善しようと、高い醸造適正を有する酵母を選抜・培養し、全国の酒蔵に配布する取り組みを行っていたのです。
 そして昭和5年、花岡氏の弟子であった酒造技師、小穴富司雄氏が、新政のもろみからこの酵母を分離し培養することに成功。 後に、日本醸造協会より『きょうかい六号酵母』の名で発売されることとなったのです。発売直後から、この六号酵母は、全国の醸造家に画期的な一大転機をもたらす酵母となりました。
 以前の酵母とは比較にならない安定した醸造特性、また近代的な酒質が評価され、一躍、日本の醸造方法は、蔵付き酵母に頼る自然発生的なものから、醸造協会が頒布する培養酵母添加方式へと様変わりしたのです。速醸酒母と協会酵母という、現在の一般的な酒造方法は、この時、確立したといえます。
 このようなわけで、六号酵母は、 現在頒布されている協会酵母の中で一番歴史の古い酵母となっています」

 酒名「房島屋」の由来について、蔵のホームページは「所酒造の屋号です」と説明している。

酒蛙

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