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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4082】吟ダッシュ(ぎんだっしゅ)【秋田県】

2019.12.21 23:13
秋田県にかほ市 飛良泉本舗
秋田県にかほ市 飛良泉本舗

【S居酒屋にて 全7回の①】

 なじみのうなぎ店で日本酒を7種類飲んだあと、S居酒屋に転戦した。このパターンは、今回で5回目になる。この両店はお酒が重複することがないので、効率的にさまざまなお酒を飲むことができる。近年お気に入りの“お約束コース”だ。

 今回、トップバッターは「若波 純米」(当連載【633】)。続いていただいたのは「吟ダッシュ」だった。特定名称酒の区分表示が無いお酒だ。スマホでいろいろ調べる時間が無い。何もかも分からないまま、飲んでみることにする。

 F 「コメの旨みが出ている」
 酒蛙「吟醸香がやや華やか。上品な香り」
 K 「吟醸香、ありますね」
 酒蛙「軽快感がややある、ふくよか、なめらかな口当たり」
 店主「やわらかですよね」
 酒蛙「旨みがまず来て、中盤から辛みが出てくる」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、精米歩合50%、アルコール分16度、日本酒度+1.0、酸度1.4」。あらためて裏ラベルを見ても、特定名称酒(大吟醸、純米吟醸など)の区分表示が書かれていない。しかし、「精米歩合50%」と、原材料に「醸造アルコール」が入っていることから、この酒は、大吟醸クラスであることが分かる。

 なぜ大吟醸と表示しないのか。ネットで調べてみたら、その理由が分かった。この酒は「『飛良泉』の大吟醸や純米大吟醸の荒走りと責めの一部分をブレンドしたお値打ち品」とのことだった。ほかの蔵でよくやっている「裏」と同じような造り方の酒だった。つまり、普通酒扱いのお酒だった。なのに規格は大吟醸。だからお値打ち品、というわけだ。

 この蔵は非常に古い。蔵のホームページで「東北で最も歴史があり、全国でも3番目の酒蔵です。創業は1487年(長享元年)、時は室町時代。斎藤家の屋号『泉屋(いづみや)』が示す通り、斎藤家は関西の泉州(現在の大阪府泉佐野市)より仁賀保(にかほ)へと移り住みました」と説明しているほどだ。

 また、酒名および蔵名「飛良泉」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「宝暦年間から天保年間を生きた名僧・良寛和尚の友人で、仁賀保に暮らしていた「増田九木」という画家が、良寛へ宛てた手紙にトンチのきいた名言を書き残しました。それは「飛び切り良い、白い水」という言葉。つまり、「飛」と「良」を並べる「ひら」は平沢(酒蛙注…平沢は蔵がある地名)にかけた言葉で、そして「白」と「水」は上下に並べると「泉」。これは斎藤家が「泉州出身」であるという意味合いがあります。それまでは「金亀(きんき)」という銘柄でしたが、この九木の自慢話が噂を呼び、酒銘「飛良泉」が誕生しました」

酒蛙

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