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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4080】水鳥記 裏隠し酒(みずとりき)【宮城県】

2019.12.20 16:09
宮城県気仙沼市 角星
宮城県気仙沼市 角星

【Mうなぎ店にて 全6回の⑤】

 久しぶりに、Mうなぎ店の暖簾をくぐった。うなぎ店なんだけど、女将さんが選ぶ酒が素晴らしく、そしてご主人がつくる料理が絶品。わたくしの大のお気に入りの店だ。お酒も料理も店任せで、至福のひとときを過ごしている。

「久保田」「上喜元」「山縣」「紀土」と飲み進め、女将さんが5番目に持ってきたのは「水鳥記 裏隠し酒」だった。この蔵のお酒は当連載でこれまで、3種類を取り上げている。なかなかの実力蔵だと感じている。さて、今回のお酒はどうか。
 
 酒蛙「苦みと渋みを感じる」
 M 「先に苦・渋が来て、次に酸が来る。それから甘みが来る。酸と渋みが耳下腺を刺激する」
 酒蛙「耳下腺を刺激とは、すごい表現ですね」
 M 「ラベルの『水鳥記』は裏焼きだけど、『裏隠し酒』は裏焼きじゃない(笑)」
 酒蛙「すかしの大きな『裏』一文字も裏焼きじゃない(笑)」
 M 「凝っているね。苦みが来るなあ」
 酒蛙「甘旨みより辛みがず~っと続く」

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、アルコール分16度、精米歩合55%、製造年月19.9」にとどまり、特定名称酒の区分名や使用米の品種名が非開示なのは残念だ。近年流行の「裏」だから細かい表示はしないのだろうが、なぜ「裏」なのか、ラベルに明示する義務があるのではないだろうか? 他の蔵は「当蔵の『裏』は、荒走りと責めをブレンドしたものです」などラベルに表示している。この表示が無いと、飲み手は、なぜ「裏」なのか分からず、まるで“闇鍋”を前にしたような不安を感じる。

「水鳥記」という酒名を感じさせない不思議な名の由来について、「気仙沼の地酒専門店」サイトは以下のように説明している。

「『三水(さんずい)』に『酉(とり)』と書いて『酒』その由来は昔、酒を醸した容器にあるといわれています。蔵元に伝わる美酒の技 それが『水鳥記』の名の由来です」

 ほかの酒屋さんサイトの多くも、同じ説明をしている。しかし、この説明文は、まったく意味が分からない。これから「水鳥記」に到達するとは、かなり無理がある、としかおもえない。

 ネットでいろいろ調べていたら、ウィキペディアに、以下の記述があった。

「慶安元年(1648年)8月に、大師河原(神奈川県川崎市川崎区)で行なわれたこの酒合戦は、酒井雅楽頭の殿医の茨城春朔がその仮名草子『水鳥記』(寛文2年(1662年)刊)に軍記物語を擬して記していたので知られる」

 酒合戦の記録「水鳥記」に由来して、酒の名をつけた、と考える方が自然だとおもうが、じっさいのところはどうなんだろう???

 蔵名「角星」(かくぼし)の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「社名でもある屋号『角星』は、初めて酒が出来上がった時、その新酒を新しい枡に入れ折壁村室根神社に献上、ますます佳き酒が出来ますようにと夜を徹して祈願したところ、明けの明星が御神鏡に映り、その光が献上の酒枡に円やかに輝いたところから吉兆とばかり喜び、早速屋印を(角星)としたと言われている」

酒蛙

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