【4079】紀土 特別純米 雄町(きっど)【和歌山県】

【Mうなぎ店にて 全6回の④】
久しぶりに、Mうなぎ店の暖簾をくぐった。うなぎ店なんだけど、女将さんが選ぶ酒が素晴らしく、そしてご主人がつくる料理が絶品。わたくしの大のお気に入りの店だ。お酒も料理も店任せで、至福のひとときを過ごしている。
「久保田」「上喜元」「山縣」と飲み進め、女将さんが4番目に持ってきたのは「紀土 特別純米 雄町」だった。「紀土」は当連載でこれまで、9種類を取り上げている。わたくしの好きなセメダイン香(酢酸エチル)が強く出る酒、というイメージを持っている。これはどうか。では、いただいてみる。
M 「香りがあるけど、雄町を感じる」
酒蛙「うん、力強い酒質だね。旨みと酸と辛みがいい。吟醸香は適度」
M 「うん。酸と辛みと苦みね」
酒蛙「ふくよか、まろやかな口当たり。『紀土』にしては、セメダイン香(酢酸エチル)が無いね。きれいな酒でキレが良い」
わたくしがイメージしていた「紀土」とかなり違う酒質でいささか面食らった。しかし、あれも「紀土」、これも「紀土」なんだろうな。幅広い酒質を醸すとは、なかなかの実力蔵なんだろうな、とおもう。
瓶の裏ラベルはこの酒を以下のように紹介している。
「大切に育まれた雄町のみを使用し、和歌山の清らかで滑らかな水で醸しました。紀土らしいきれいさや柔らかさが、雄町米ならではの力強さとくふよかさを際立たせ、シンプルながらも深い調和を生み出しています。艶やかな口あたりは喉ごしも滑らかに身体に染みわたり、深い余韻を与えます。紀州の風土を感じていただければ幸いです」
裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合 麹米50%(雄町100%)掛米60%(雄町100%)、アルコール度数15度、製造年月19.11」。
酒名「紀土」の由来について、コトバンクは「酒名は『紀州の風土』と英語『kid(子ども、若者)』をかけ合わせて命名」と説明している。