メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4071】穂円 純米(ほまる)【秋田県】

2019.12.12 23:17
秋田県横手市 備前酒造本店
秋田県横手市 備前酒造本店

【秋田市にて 全10回の⑥】

 秋田市在住の友人Yと10年ぶりで飲んだ。同業のYと知り合ったのは30年ほど前。以後、Yとわたくしはずっと同じような仕事をしてきた。会議でよく顔を合わせ一緒に飲んだものだった。会社を卒業してもSNSで毎日お互いの投稿をチェックしているので、10年ぶりに会った感覚は全くない。いまの言葉で言えば、SNSのオフ会のようなものだった。

 会った場所は、炉端焼き風の居酒屋。酒の種類が多い店を、というわたくしの希望を受け入れ、Yが選んだものだ。せっかく秋田に来たのだから、秋田県の酒だけを飲むことにした。メニューの上から順番に飲んでいった。

「秋田晴」「秋田誉」「阿桜」「奥清水」「竜乃涙」に続いて6番目に飲んだのは「穂円 純米」だった。この蔵のお酒は当連載ではこれまで「大納川 限定復刻版」(当連載【2064】)1種類を取り上げている。さて、いただいてみる。

 含んで、「おおおおっ」と驚いた。昭和レトロ的熟成感的クラシカル香味が、口の中で大きく激しく広がるではないか。この香りは言い換えれば、ごはんを炊き上げたばかりの香り、ナッツの香り、穀物香などという。わたくしの向かいに座っているYは、グラスに注いだ瞬間、「あっ、親父が飲んでいた酒の香りだ」と懐かしがる。甘い味わいのお酒だった。日本酒オールドファン垂涎の酒だとおもった。

 瓶のラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「大粒の酒米は秋になると頭を垂れ、円を描くように円くなります。秋田の酒米と蔵元の良質な井戸水のみで醸した純米酒 穂円(ほまる)は淡麗やや辛口。ほのかな麹の香りとキレの良い酸が特徴のお酒です」。やや辛口には驚いた。わたくしの口は甘みを感じた。

 ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合60%、アルコール分14度」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 蔵名が「備前酒造本店」と書かれている。備前国は、岡山県東部などで構成された江戸時代の国名だ。秋田と備前の関係について以前、蔵のホームページ(現在は閉鎖中)を見ると、以下のように説明していた。

「備前酒造本店は、横手市の北西、霊峰保呂羽山の麓、国の重要無形文化財『霜月神楽』が伝わる大森町にあります。備前酒造本店という名が示すとおり先祖は備前の国(現在の岡山県)の船乗りであったようです。酒造りは四代前海産物問屋を営んでいた備前才治が、大正三年に創業し、時の貴族院議員土田万助翁により、大森町の中心を流れる大納川にちなみ『大納川』と命名されました」

 同蔵は2019年3月1日から事業体制を一新し、「株式会社大納川」に社名を変更した。

酒蛙

関連記事 一覧へ