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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4061】真澄 真朱 AKA 山廃 純米吟醸 七号酵母自社株(ますみ)【長野県】

2019.12.7 23:05
長野県諏訪市 宮坂醸造
長野県諏訪市 宮坂醸造

【Z料理店 全6回の②】

 早稲田大学野球部OBと、脳みそが野球データベース化している元同僚、そしてベイスターズファンのわたくし、この3人がZ料理店で飲んだ。3人がカウンターに陣取り、野球にめったやたらと詳しい店主と相対しながら、野球談議をしよう、という試みだ。好きな野球について語り合うのだから、場が盛り上がらないわけがない。4時間も語り続けた。

 最初に選んだ「鷗樹」に続いて、2番目に選んだのは「真澄 真朱 AKA 山廃 純米吟醸 七号酵母自社株」だった。「真澄」は、吟醸酒の発展に大きな役割を果たした七号酵母発祥蔵のお酒として極めて著名である。だから、この蔵のお酒を当連載でたくさん取り上げている、と思い込んでいたが、これまでなんと3種類しか取り上げていなかった。たまたま「真澄」を飲む機会が少なかったからだろう。

 さて、今回のお酒はどうか。いただいてみる。さらりとした口当たり。これが第一印象。香りは抑え気味。旨みが出ており、酸も感じられる。淡麗やや辛口に分類される酒質とおもうが、さわやかな酸がいい感じで出ており、全体的にきれいな酒質で、ジューシー感があるお酒となっている。まとまりの良さと、品の良さが感じられるお酒だ。

 瓶のラベルは、この酒を以下のように紹介している。「諏訪大社のご宝鏡を酒名に戴く真澄は七号酵母の個性を活かした食中酒を目指しています。真朱は乳製品を想わせるほのかな香りと深みのある味わいが特徴です」

 また、蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「古より使われてきた天然の朱色のイメージから名付けられた酒です。その色のごとく、乳製品を想わせるほのかな香りが、華やかでいて落ち着いたうまみの層となっています。素材の味が濃厚な食材や、しっかりとした味付けの料理に合わせると、酒と肴の相乗効果で、それぞれの味がより引き立ちます」

 ラベルのスペック表示は「七号酵母発祥蔵元、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合55%、アルコール分15度、製造年月2019.08」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だが、蔵のホームページは「米の品種:長野県産 美山錦、長野県産 ひとごこち」と開示している。「ひとごこち」は、長野県農事試験場が1987年、母「白妙錦」と父「信交444号」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1997年に品種登録された酒造好適米。「美山錦」は長野県農業総合試験場農事試験場が1972年、「たかね錦」にガンマ線を照射することによって生じた突然変異株を選抜・育成し品種固定。1978年に命名された、全国的に著名な酒造好適米。

 さて、前述したが、この宮坂醸造は、吟醸酒の発展に大きな役割を果たした七号酵母発祥蔵として知られる。瓶のラベルにもそう書いており、七号酵母に誇りを持っている。七号酵母の発祥からその後について、蔵のホームページは以下のように紹介している。

   ◇

 日本酒は体長5ミクロンの微生物「酵母」が甘酒の糖分をアルコールに変えることで醸されます。しかし美酒を生み出す力を持った酵母はごく僅かで、酒造りが自然まかせに近かった明治時代までは失敗がつきものでした。そこで明治37年に設立された国税庁醸造試験所は、優良酵母を捜し出して酒造メーカーへ販売する事業を開始。この「醸造協会酵母」によって日本酒の品質は飛躍的に向上したのです。
 真澄が全国清酒鑑評会で上位を独占した昭和21年、醸造試験所の山田正一博士は、真澄諏訪蔵で醗酵中のモロミから極めて優れた性質を備えた酵母を発見。「醸造協会酵母7号」と命名された真澄酵母はまたたく間に全国の酒蔵へ普及しました。
(中略)
 発見当初の7号酵母は華やかな吟醸香を醸し出す酵母でしたが、長い間に少しずつ性格が変化し、現在では「落ち着いた香りとバランスのとれた味わい」の大人びた酒を醸し出す酵母となっています。七号酵母は発見から60年以上経た今でも全国60%の酒蔵で活躍しています。中には熱烈な七号酵母ファンの蔵元もいて、業界の会合の席で「なぜ真澄が七号以外の酵母を使うのか」と食って掛かられることもしばしばです。よく「真澄は七号酵母の販売で大儲けでしょ」とからかわれますが、真澄は七号のパテントを持っている訳でも、販売に携わっている訳でもありません。もしそうであったら当社は今ごろ超優良企業です。七号酵母がお金に換わることはありませんが、やはり「七号発祥の蔵元」は名誉であり絶大な宣伝効果です。その一方で、「決して正道から外れた酒造りをする訳にいかない」というプレッシャーにもなっています。

   ◇

 酒名「真澄」の由来について、瓶のラベルでもすこし触れているが、蔵のホームページは以下のように説明している。「寛文2(1662)年創業。清冽な水と冷涼な気候に恵まれた霧ヶ峰の山ふところ信州諏訪で、諏訪大社のご宝物『真澄の鏡』を酒名に冠した酒を醸してきました」

酒蛙

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