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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4056】陸奥八仙 レイメイ 99(むつはっせん)【青森県】

2019.12.2 18:30
青森県八戸市 八戸酒造
青森県八戸市 八戸酒造

【B居酒屋にて 全4回の②】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが2種類ほどある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

 最初に「東洋美人 純米大吟醸 白鶴錦 40」を選び、次にいただいたのは「陸奥八仙 レイメイ 99」だった。八戸酒造のお酒は当連載でこれまで20種類を取り上げており、そのうち18種類が「陸奥八仙」となっている。

 さて、今回の酒の大注目は精米歩合が99%の酒であることだ。玄米は重量比で白米約92%、糠層約5%、胚芽約3%という構造になっている。主食用米にするため普通、白米の外側を覆っている糠層や胚芽を削り取る。こうして残った白米を主食に使う。すなわち主食用米の精米歩合は約92%である。

 このような中にあって、今回の酒の精米歩合99%は、糠も胚芽も入ったコメで醸造した、という意味を持つ。ふつう、糠や胚芽が入ると雑味が生じ、日本酒には向かない、と言われている。それにあえて挑戦したことになる。

 精米歩合99%に挑戦した目的について、瓶の裏ラベルは以下のように説明している。「究極に磨いたお酒に対抗して究極に磨かないお酒を造りました。酒税法上玄米では日本酒を名乗れないので1%だけ削った白米にて。原料米が玄米に近づけば近づく程、水を吸わなくなり、米が溶けにくくなり、酵母が暴れ出します。それらをどうにかこうにかコントロールして極力キレイな酒質を目指しました。鑑評会出品酒より手間暇のかかった99%をお楽しみ下さい。熟成させてもおいしそうです」

 この中で浅学非才なわたくしには理解できない部分がある。それは「酒税法上玄米では日本酒を名乗れないので1%だけ削った」の部分だ。国税庁サイトの酒税法の部分に、特定名称酒の精米歩合についての規定が明記されている。それを見ると、純米酒の精米歩合は「-」となっている。すなわち、純米酒の場合、精米歩合に規定が無いのである。これは、どう見ても、純米酒は玄米(精米歩合100%)を原料にしてもいい、と読み取れる。八戸酒造ではなぜ「玄米では日本酒を名乗れない」とおもっているのだろう??? きっと、わたくしが知らない「根拠」があるんだろうな。あったら教えていただきた。強い関心があるので。

 さて、精米歩合99%のお酒をいただいてみる。恐る恐ると。お酒が黄色く色づいている。

 酒蛙「甘旨酸っぱい。とくに酸が極めて強く出ている。甘みもけっこう出ているんだが、酸が極めて強いので、味覚神経が酸に行っちゃう。そして、キレが非常に良い。不思議なことに、含み香は赤ワインをおもわせるものがある。やわらかめで、やや軽快な飲み口」
 仲居さん「赤ワイン・・・そう言われればそうかもしれない」
 酒蛙「いま、赤ワイン似の含み香と言ったけど、梅酒の香りの方が適切かもしれないね」
 仲居さん「梅酒、分かる、分かる」
 酒蛙「糠も胚芽も一緒くたになった酒だけど、別に雑味は感じないなあ。洗練された味では全くないけど、気にならないなあ(笑)。アルコール分10度なので、ワイン感覚でクイクイ飲める」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原料米 米・米麹、アルコール分10度、八戸産レイメイ100%、精米歩合99%、製造年月2019年9月」。

 使用米の「レイメイ」は、青森県農業試験場藤坂支場(現・青森県産業技術センター農林総合研究所)が、当時の主要主食米だったフジミノリを短稈化し、育てやすくするため1959年、フジミノリにガンマ線(放射線)を照射、突然変異株を育成と選抜を繰り返し、品種を固定した主食用品種。このガンマ線照射による育種は、世界で初めてのことだった。1966年に命名、作付けは1966年から始まり、同年の作付面積は1200ヘクタールだったが、1970年には全国4位の13万6375ヘクタールまで作付けが拡大した。

 酒名「陸奥八仙」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「中国の故事、酔八仙(八人のお酒の仙人の物語)では、酒仙たちの様々な逸話や興味深い酒の楽しみ方が語られています。飲む方が酒仙の境地で酒を楽しんで頂きたいとの思いを込めて『陸奥八仙』と名付けました」

酒蛙

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