メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4041】TAKARAYAMA 米袋ラベル ゆきん子舞 1回火入れ(たからやま)【新潟県】

2019.11.16 23:54
新潟県新潟市 宝山酒造
新潟県新潟市 宝山酒造

 休日の夕方、ふらりと近所のうなぎ屋へ。うなぎはもちろん美味しいのだが、酒がいい。定番酒はありきたりの地酒3種類ほどだが、店主の“隠し酒”が面白い。この場合の面白い、は特段意味のある言葉ではない。わたくしの興味をそそる酒が多い、ということだ。どんなルートで入れているのか興味のあるところだが、あえて聞かないことにしている。

 席につくと、店主が、おすすめのお酒を持ってきた。今回は「TAKARAYAMA 米袋ラベル ゆきん子舞 1回火入れ」だった。宝山酒造のお酒はこれまで、当連載で2種類取り上げている。いずれも東京・池袋の立ち飲み居酒屋で飲んだものだ。さて、今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 すっきり淡麗、そして辛口。これが第一印象だった。余韻に酸と苦みと辛みが残る。とくに苦みが強い。甘みはすこし感じられる。近年、甘旨酸っぱいやや濃醇な酒が多くの蔵で造られ、その味わいがトレンドとなっている(簡単に言えば「流行」)中にあって、今回の酒のような淡麗辛口の王道を行く酒と出会うと、一種のすがすがしさを覚え、うれしくなる。

 ただ、特定名称酒の区分と精米歩合を明らかにしていないのは賛成できない。蔵はその理由を裏ラベルで「『未開封の米袋』をテーマに、最低限の情報以外他の一切の情報を『非公開』とし先入観なしで飲んでいただきたいという思いで造りました」と述べている。この酒は多分、純米酒以上だろうが、飲み手を試すような“上から目線”のやり方には賛成できない。情報非公開をうたっている蔵が散見されるが、飲み手側の中には、わたくしのように不快感を覚える人がいることを蔵元さんはご存知なのだろうか? 正々堂々とスペックを公開し、飲み手に問うてほしいものだ。そもそも、食品成分表示が義務付けられている世の中にあって、非公開は時代に逆行している。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「新潟県の食中酒として『新潟淡麗』の味わいを表現し、飲みやすい酒質にしています。酒米を用いらず全量食用米『ゆきん子舞』を用いており蔵独自の味わいを感じ取って頂ければ幸いです」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「アルコール度数16度、原材料名 米(新潟県産)米麹(新潟県産米)、契約農家 米の嘉藤治(新潟県新潟市西蒲区河井)、製造年月19.6」。

 使用米の「ゆきん子舞」(ゆきんこまい)は新潟県農業総合研究所作物研究センターが1988年、母「山形35号」(どまんなか)と父「新潟20号」(ゆきの精)を交配させ、育成・選抜を繰り返して品種を固定。2005年に命名、2008年に種苗法登録された主食用米の品種。新潟県のみで栽培されている。新潟県は高級米・コシヒカリの主産地だが、業務用米が不足しており、「ゆきん子舞」に不足分を補ってもらおうという期待がある、という。

 主銘柄および蔵名「宝山」の由来について「日本の名酒事典」は、「明治18年創業。酒名は酒蔵の前にそびえ立つ多宝山にちなんだもの」と説明している。

酒蛙

関連記事 一覧へ