【4040】月桂冠 THE SHOT 大吟醸 生詰(げっけいかん)【京都府】

【月桂冠 全2回の②完】
新聞で「月桂冠」が新商品を出したことを知った。1合の飲みきりサイズ。ボトルの形、デザインがイケてる。およそ日本酒と縁遠いようなエレファントカシマシの宮本浩次をイメージキャラクターとして起用する斬新さ。スーパーでの買い物のついでに本醸造と大吟醸の2本を買った。
蔵のホームページは、新商品のキャッチコピーを「気ままに、日本酒、ショット飲み。」とし、コンセプトを以下のように説明している。
「月桂冠 THE SHOTは、手のひらにぴったりと収まるショットボトルで、しかもリキャップ可能なスクリューキャップ。カジュアルに持ち運べて、自分のペースで気軽に楽しめる、新しい日本酒です。
テイストは、リッチで上品な甘さとふわりと広がるフルーティな香りを、特殊製法によって両立させた『艶めくリッチ〈本醸造〉』と、若い果実を思わせる華やかな香りでスッキリとキレのある『華やぐドライ〈大吟醸〉』の2種類をご用意しました。どちらもポジティブな気持ちで明日へ向かうリラックスシーンでお楽しみ頂けるテイスト設計としています。
自分らしいライフスタイルを追求する 働き盛りの大人たちを応援する、月桂冠からの贈り物です」
さて、2本買ったうち本醸造から飲み、次に大吟醸を飲む。ボトルに「華やぐドライ」というキャッチコピーが書かれている。香り高い辛口酒、という意味か。いただいてみる。
まずは冷酒で。フルーティーな上立ち香。含み香は適度。例えるなら完熟メロンか。酸が立ち、非常にさっぱりとした飲み口。余韻は酸が辛みを伴う。そして、キレが非常に良い。軽快で、きれいな、シャープ感がある口当たり。味わいは、甘みと旨みがやや少なめ。一言でいうならフルーティーな淡麗辛口酒。甘みが際立つ濃醇酒の「月桂冠 THE SHOT 本醸造」とは真逆の酒質だった。
次に40℃のぬる燗にしていただいてみる。含み香がすこし強まる。この香りは、果実的ではない例え不能なもの。甘旨みが出てきて、味に厚みが増す。甘み、旨み、酸、辛みがそれぞれ出てくるが、一体となった甘旨酸っぱい味わいとはならず、それぞれ味が分離している。含み香が気になるので、この酒は冷酒の方がいいと感じた。
蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「リンゴのような華やいだ香りを醸し出す酵母の活用により、若い果実のようなフルーティさを感じながら、スッキリと切れるドライなテイストとしました。フルーティな香りをできる限り保持するために、酒が熱にふれる時間をより少なくするなど、加熱処理を工夫しています。一連の製法の工夫により、これまでの一般的な日本酒の味わいを超越した新しい酒質を実現しました」
また、ホームページに書かれているこの酒の甘辛度と濃淡度は、甘辛度が5段階の3(中間)、濃淡度は5段階の淡麗4。
ボトルに書かれたスペック表示は「アルコール分15度以上16度未満、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)醸造アルコール、精米歩合50%」。使用米の品種名が非開示なのは残念だ。
酒名・蔵名の「月桂冠」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。
「当社は、1905年(明治38年)、勝利と栄光のシンボル『月桂冠』を商標登録し酒銘として使いはじめました。当時、自然や地名などをもとにした銘柄が多く用いられていた中で、ハイカラな酒銘として注目を浴びました」