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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4011】初亀 純米大吟醸 亀(はつかめ)【静岡県】

2019.10.18 22:53
静岡県藤枝市 初亀醸造
静岡県藤枝市 初亀醸造

【S居酒屋にて 全12回の①】

 年に1~2回飲んでいる5人グループ。もともとTとわたくしは仕事で知り合い、よく2人で飲んでいた。Tの友人が次々に加わり5人のメンバーとなった。場所は、酒の種類が非常に多いS居酒屋だ。キャパも大きい。しかし、キャパの割りには静か。キャパの大きい大衆居酒屋だと酔ってオダを上げる客が多く、隣りの仲間と話すのにも苦労するほど騒々しい。しかし、ここはオダを上げる客はおらず、全体的に上品な雰囲気。なんてったって、東京・銀座の居酒屋だから。

 いつもなら、わたくしたちが飲んだことがないであろう酒をフロアマネジャー的な方が持ってくるが、今回、彼は別な仕事で不在。代わって、従業員の男性が対応する。わたくしが、トップバッターとして「雨後の月」(広島県)を選ぼうとしたら、従業員さんは「あ、複数のお酒を召し上がるときは、軽い酒からの方がいいですよ。『雨後の月』は旨みたっぷりだから、トップバッターには不向きです」という。いつもわたくしが言っているのと同じセリフを言われてしまい、ずっこける。

 ならば、軽快な「初亀」にしよう。そう言ったら、従業員さんは「はい、かしこまりました!」とでかい声で答える(体もでかい)。「初亀」はこれまで、当連載で4種類を取り上げている。淡麗で、さっぱりした口当たりの軽快なお酒、という強いイメージがある。今回の酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「淡麗酒だ。吟醸香ほのか。上品だ」
 N 「うん、淡麗。酸を感じる」
 酒蛙「そうそう、酸を感じますね。酸がいいね」
 D 「キレの良い酸です」
 酒蛙「軽快で酸が出ているので、飲み飽きしない」

 ここで、メンバーのTが「ひぇ~~~~!」と奇声を上げた。「この酒、メニューに1合3,100円と書いているぅ! 我々、2合注文したから6,200円だああっ! 大変だあ」。これを聞いたわたくしたち全員も「ひぇ~~~~~っ!!!」と腰を抜かす。従業員さんを呼びつけ、「1合3,100円って、本当か?」と聞くと、「はい、本当です」との答え。わたくしが「だったら、注文したとき、『高い酒だ』とひとことくらい知らせてよ」とお願い。彼も「すみません。高い酒は、このエリアです」と、冷蔵庫の中で、高い酒を置いている場所を教えてくれた。さて、飲み続ける。

 酒蛙「飲み続け、温度がすこし上がってきたら、旨みがかなり出てきたよ。淡麗で、香味のバランスが良く、物静かで、非常に上品なお酒であることは間違いない。でも、1合3,100円の味かなあ」(後で調べたら、もともとの酒の値段が極端に高かったのだ。だから、末端価格(居酒屋価格)も高かったのだ。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「初亀純米大吟醸(亀)は兵庫県産山田錦(特上)と南アルプスの伏流水を原料に杜氏、蔵人が丁寧に育て生まれた逸品を厳選し、長期低温熟成させた秘蔵酒です」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分16度、使用米 兵庫県産 山田錦(100%使用)、精米歩合35%、製造年月2018年4月、製造番号00042754」。

 これらから、酒そのものが高いことが、分かる。その理由は、①兵庫県産特Aの山田錦を使っており、使用米そのものが高い②しかも、精米歩合35%だから、普通の山田錦使用の純米酒より2倍くらい高い③しかも長期低温熟成(何年か知らないけど)だから、その間の電気代など管理コストがかかる-など、価格が高くなる要素がたくさんあったのだ。

 酒名および蔵名「初亀」の由来について、「日本の名酒事典」は「寛永12年(1635)創業。初日のように輝き、亀のように末永く栄えることを願って命名された」と説明している。

酒蛙

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