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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3954】陸奥男山 超辛純米(むつおとこやま)【青森県】

2019.9.8 23:13
青森県八戸市 八戸酒造
青森県八戸市 八戸酒造

 子どものときから昆虫が趣味である。そんな大人6人と年に3回、飲み会を開いている。春のシーズン始めの決起集会、納涼会、忘年会、というわけだ。場所はなじみのH居酒屋と決まっている。この飲み会のために、と店主が、わたくしたちが飲んだことがないだろう酒を入れてくれた。「陸奥男山 超辛純米」である。

 八戸酒造の酒は飲む機会が多く、これまで当連載では、「陸奥八仙」15種類、「陸奥男山」2種類、「陸奥田心」1種類を取り上げている。中庸な旨口酒、というイメージがある。その中にあって、今回の酒は「超辛」を名乗っている。いただいてみる。

 おやおや? 超辛口を名乗っているのに、上立ち香は果実香。意外性に出鼻をくじかれる。というのは、超辛口を名乗っている酒の多くは、香りはまったく抑えられているからだ。含んでみる。旨みと辛みが出ている。これが第一印象だ。ドライなだけの辛口酒ではなく、旨みがけっこう多く出て、味わい深いのがいい。

 酸は奥にすこしある感じで、あまり出てこない。やわらかで、やさしい、きれいな飲み口。果実香味も絶妙に混じり、なかなか旨し。5合を越えたあたりから、甘みも出て来るようになる。超辛をうたっているので、味の無いドライ辛口のつもりで飲むと、裏切られた気持ちになるから要注意だ。わたくし個人的には大好きだ。6人での飲み会だったが、日本酒を飲むのは、Fとわたくしの2人だけ。2人でほぼ1升を飲んだ。これだけでも、この酒がいかに飲み飽きしない、宴会酒・食中酒に向いているかの証左になる。

 瓶のラベルの表示は「原材料名 米・米麹、精米歩合65%、国産米100%使用、アルコール分16度」にとどまり、使用米の品種名を開示していないが、蔵のホームページは、この酒の使用米を「麹米 華吹雪、掛米 まっしぐら」と開示している。

「華吹雪」は青森県農業試験場が1974年、母「おくほまれ」(祖母が「山田錦)と父「ふ系103号」(祖母が「ササニシキ」)を交配。育成と選抜を繰り返し開発、1988年に品種登録された酒造好適米だ。全国的に有名な「田酒 特別純米」の使用米として知られ、また「飛露喜」が大ブレイクしたきっかけとなった「飛露喜 特別純米 無濾過生原酒」の初期の使用米としても知られる。

「まっしぐら」は青森県産業技術センター農林総合研究所が1993年、母「奥州341号」と父「山形40号」を交配してつくり、2005年に命名、2009年に種苗法登録された主食用米。

 この蔵の主銘柄は「陸奥男山」と「陸奥八仙」。その歴史について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「創業銘柄の『陸奥男山』は1910年(明治43年)、全国の男山ブランドに先駆けて四代目駒井庄三郎によって商標登録されました。『陸奥八仙』は八代目駒井庄三郎により、1998年(平成10年)にスタートしました」

 酒名「陸奥八仙」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「中国に古くから伝わる八人の仙人(酔八仙)にまつわる故事があります。それには、酒仙たちの様々な逸話や世俗の有り様など、興味深い酒の楽しみ方や味わい方が語られています。『陸奥八仙』は、この故事から引用し、飲む人が酒仙の境地で酒を楽しんで頂きたいとの思いを込めて名付けた」

酒蛙

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