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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3949】澤屋まつもと 守破離 赤磐産朝日2018(さわや しゅはり)【京都府】

2019.9.4 12:12
京都府京都市伏見区 松本酒造
京都府京都市伏見区 松本酒造

【B居酒屋にて 全5回の③】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが1~2種類ある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

「七ロ万 純米吟醸 一回火入れ」「田中六五 65|13」に続いていただいたのは「澤屋まつもと 守破離 赤磐産朝日2018」だった。「澤屋まつもと」は、今回のお酒を含め、当連載で8種類を取り上げている。わたくし行きつけの居酒屋が好む銘柄だ。さて、今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 さっぱり、すっきりとした、やや軽めの飲み口で、酸が立っている。これが第一印象。しかし、あらためて味わってみると、それほど酸が立っているわけではなく、適度な酸。むしろ、甘みと旨みも良く出ており、甘・旨・酸・苦のバランスが良い。余韻は苦み。微々炭酸を感じ、ジューシーなので、ガスの弱いラムネ的な味わいのお酒。

 瓶の裏ラベルは、「原料に勝る技術なし」と題し、以下の文章を載せている。

「岡山県赤磐産朝日米を醸した日本酒です。雄町の故郷の土壌と同じ環境で育った赤磐産朝日米の個性をお楽しみ下さい。開栓時はよく冷やして栓が飛ばないようお気を付けて下さい。醗酵時の自然なCO2がごく少量溶け込んでいます」

 裏ラベルの表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 朝日100%、アルコ―ル分15度、製造(瓶詰)年月19.04、出荷年月19.06」。

 気になるのは、特定名称の区分表示がされていないことと、精米歩合が非開示なこと。食品成分表示が細かく開示されている時代にあって、消費者のために、特定名称の区分と精米歩合は公開すべきだと強く訴えたい。

 使用米の「朝日米」について、ウィキペディアは以下のように記述している。
     ◇ 
【概要】明治41年に京都府向日市で山本新次郎という農家が「日ノ出」という品種の米を栽培していた時、その中に特異な2穂を発見した。それを育て、日ノ出から連想させて「朝日」と名称を定めたが、すでに同名の品種が京都府内に存在していたため、明治44年に京都府農業試験場が「旭(京都旭)」と正式に命名した。
 大正時代に岡山県農業試験場が旭の品種改良を行ったが、岡山県内ではすでに旭という品種が別に存在していたために混同を避けるため、「朝日」という名称に決定した。 大正14年2月に岡山県の奨励品種に定められた。
 その後も岡山農業試験場は試験・品種改良を続け、「朝日47号」を分離選出した。現在栽培されている朝日の大半はこれである。
 コシヒカリ・ササニシキ・あきたこまちも品種改良をたどれば、この朝日(旭)にルーツがある。
【特徴】大粒で、適度な粘りと歯ごたえが持ち味である。また、ふくよかでほどよい甘さのある上品な味わいだといわれる。米飯の他、握り飯や寿司(握り寿司、ばら寿司など)に適している。
 中心部分に心白が少ない品種であるが、酒米としても使用される。
 欠点としては、背が高いため栽培時に倒れやすく育てにくい、脱粒しやすい等の点が挙げられる。 
【主要産地】岡山県 - 南部を中心に栽培される。アケボノ、ヒノヒカリ、雄町とともに岡山米の代表格とされている。
     ◇
 酒名「澤屋まつもと」の由来について、静岡県田方郡函南町の酒屋さん丸屋酒店のサイトは「酒名の酒は古い暖簾『澤屋』と名字の「松本」に由来します」と説明している。

 酒名にある「守破離」の意味について、コトバンクは、以下のように説明している。

「剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。『守』は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。『破』は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。『離』は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階」

 ネットでは、これをかみくだいて、以下のように説明している。「『守』とは、伝統を守ること。『破』とは、新しい感性でその伝統を破ること。『離』とは、守と破の両方を大切にして、新しい価値を創造すること」

 しかし、これでも隔靴搔痒、イマイチ腑に落ちない。「澤屋まつもと」における「守破離」の説明は、酒販店「五本木ますもと」(東京)のブログが一番分かりやすい。なんといっても、実名を挙げて説明しているのだから。「五本木ますもと」のブログを以下に貼り付ける。

「『澤屋まつもと』の松本日出彦杜氏は、愛知県名古屋市の『醸し人九平次』の萬乗醸造で酒造りの修行を積んだ経験があり、『醸し人九平次』の佐藤彰洋杜氏とは師匠と弟子の関係にあたります。その後、日出彦さんは実家である松本酒造に戻り、自らの蔵の伝統を守る酒造りを行う一方、萬乗醸造で学んだこれまでの『澤屋まつもと』にはない酒造りに挑戦。両者の酒造りを知る日出彦さんにしか造ることが出来ない『澤屋まつもと』でも『醸し人九平次』でもない新しいお酒がこの『守破離』というお酒です」

 

酒蛙

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