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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3948】田中六五 65|13(たなかろくじゅうご)【福岡県】

2019.9.4 11:58
福岡県糸島市 白糸酒造
福岡県糸島市 白糸酒造

【B居酒屋にて 全5回の②】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが1~2種類ある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

「七ロ万 純米吟醸 一回火入れ」に続いていただいたのは、「田中六五 65|13」だった。瓶にラベルは無く、直接「65|13」と印字されているだけ。「これ、何だ?」と聞いたら、店長いわく「『田中六五』です。『65|13』の意味は、精米歩合65%で、アルコール分13度という意味です」。

 白糸酒造のお酒は、今回の酒を含め、当連載で4種類を取り上げている。酒名「田中六五」の意味について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「『田中』とは田中家の姓であると共に、『田んぼの中にある酒蔵で醸された』という意味が込められている。そして、『六五』とは、「糸島産山田錦のみを用い、65%精米によって仕上げられた純米酒』であるということ。伝えたいメッセージは、それ以上でもなく、それ以下でもない」。なんだか、突き放したような書き方で、一種、上から目線の怖さを感じる。老婆心ながら、文章を変えた方がいい、と提案します。

 また、「田中六五」の精米歩合を65%に設定したことについて、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「舌に馴染む65%   田中六五を作る際、第一に決まったのが、精米65%という数値だった。大吟醸でもなく、吟醸でもなく、誰もが普段使いできる純米酒。定番を作りたいという思いは、65%という数値によって表現されている。田中六五の場合、仕込むのは純米酒一本。白糸酒造として世に問いたい酒。本当に伝えたい酒。そう考えた時、自ずと答えは出た。薄れていくのは迷いであり、膨らみ出す個が未来となる。続けることで、根付いていくカタチ。それが、福岡の酒の、ハイ・スタンダードとなる」

 さて、「65|13」をいただいてみる。甘旨酸っぱくて、とくに酸が非常に良く出ており、やや果実感がある。これが第一印象。やわらかな酒質で、軽快感があり、さらりとした口当たり。余韻は酸に軽い苦みが混じり、長く続く。香りは抑えられている。たしかにアルコール分は低く感じられ、非常に飲みやすい。

 瓶の印字はこの酒を以下のように紹介している。「白糸酒造のある糸島は、海と山に面した自然豊かな地で食材の宝庫です。この『6513』は、糸島の清らかな空気を胸いっぱいに吸い込んだ時の心地よさをイメージして醸造しました。あるべき未来へ、人と自然を結ぶ一献です」

 瓶の印字表示は「原材料名 米(糸島産山田錦100%)米麹(国産米)、アルコール分13度」にとどまり、特定名称の区分や精米歩合は表示されていない。精米歩合は、「うちは65%なんだ」という強烈なプライドがあるから表示しないのだろうが、やはり、スペック表示に65%と書くべきだろう。また、特定名称区分は、たぶん純米酒なんだろうが、これもきちんと書くべきだろう。消費者のために。

 酒名「白糸」の由来について、コトバンクは「酒名は、地元の名勝『白糸の滝』にちなみ命名」と説明している。

 

酒蛙

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