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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3947】七ロ万 純米吟醸 一回火入れ(ななろまん)【福島県】

2019.9.3 20:44
福島県南会津郡南会津町 花泉酒造
福島県南会津郡南会津町 花泉酒造

【B居酒屋にて 全5回の①】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが1~2種類ある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

 今回、最初にいただいたのは「七ロ万 純米吟醸 一回火入れ」だった。花泉酒造のお酒は今回の酒を含め、当連載でこれまで9種類を取り上げているが、うち「ロ万」シリーズは8種類と飲む機会が多い酒だ。「ロ万」シリーズは、甘みが濃厚に出る酒、というイメージを持っている。今回の酒は、ラベルの色からして、いかにも夏酒だ。B居酒屋の店長は「酒名の『七』は、夏酒をあらわしているんですよ」と教えてくれた。さて、いただいてみる。

 さらりとしたきれいな口当たり。軽快で、やわらか、やさしい甘みが適度に出ており、甘酸っぱい。従来の「ロ万」シリーズと比べ、果実香はほのかなのだが、非常にジューシーな味わい。余韻は辛みがすこし。従来の「ロ万」シリーズは、甘みがかなり出ているが、今回の酒はそれに比べると、甘みは抑えられている。軽快なので、アルコール分を低くしているのかな、とおもいラベルを見たが、アルコール分は15度と一般的だった。それでも軽く感じるのは造りが上手だからか。いかにも夏酒。実に飲みやすい。きりりと冷えたときはさらりとした口当たりだが、温度が上がるにつれ、味がやや厚くなり、旨みなど味わいが広がる。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「米、水、人。本当の意味の『地酒』にこだわりぬいた酒」「瑞々しく、やさしく潤す、夏のロマン   伊南川の水面が太陽にきらめき、蔵を取り囲む大自然が緑の輝きを増す頃、『七ロ万』は蔵出しの時を迎えます。陽射しをやわらげる木陰のように、やさしく、心潤す酒でありたいと仕込んだ『七ロ万』。果実のような瑞々しさと、穏やかな香りの、夏のロマンです」

 裏ラベルには「ロ万シリーズ 5つのこだわり」と題し、以下のこだわりを載せている。▽米 100%会津産米 ▽水 水源の森百選 名水「高清水」 ▽蔵人 地元南会津南郷地域の人 ▽酵母 福島県開発「うつくしま夢酵母」 ▽業 伝統の「もち米四段仕込み」

 裏ラべルの表示は「原材料名 米(会津産)米麹(会津産米)、精米歩合 50%、アルコール分15度、使用米(使用割合) 麹米 五百万石(21%) 掛米 五百万石(72%)ヒメノモチ(7%)、製造年月19.6」。

 ふつう、酒は三段仕込みで醸される。これは、蒸米・麹米・水を、3回に分けてタンクに投入する、という意味だ(1回目だけは酒母も入れる)。一度にまとめて投入すると、乳酸が薄まり、雑菌が繁殖する恐れがあるため、乳酸を増やしながら分けて投入する。

 この酒は、さらにコメ全体の7%にあたる「もち米」を4回目に投入しているのだ。4段仕込みはたまにみられ、「旭の出乃勢正宗」(長野県)なども行っている。その効果については、はっきりしたものはないが、濃醇・芳醇になり甘みがより出てくる、といわれている。

 蔵名および主銘柄「花泉」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。「美しいヒメサユリの“花”咲く高清水自然公園から、 こんこんと“泉”のように湧き出でる清水。 その清水を仕込み水として酒造りを行っていることから、 『花泉』と名付けられました」

 また、2007(平成19)年に、新シリーズとして誕生した「ロ万」の名の由来について、蔵のホームページは以下のように紹介している。

「あたり場と呼ばれる休憩室で仕事後に酒を酌み交わしている時など、蔵人や従業員が集まるとたびたび『男はロマン』『酒造りはロマン』という言葉を口にしていました。 そして『花泉』に次ぐ新ブランドの構想を練っていたある日のこと、『一号』の文字がふと『一ロ万(ひとろまん)』と読めることに気が付き、『酒造りはロマン』の言葉と重なって、『ロ万』という銘柄が生まれました」

酒蛙

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