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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3937】南部美人 純米大吟醸 愛山(なんぶびじん)【岩手県】

2019.8.28 21:32
岩手県二戸市 南部美人
岩手県二戸市 南部美人

【B居酒屋にて 全3回の①】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが1~2種類ある程度だ。このため、常に飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”で訪れることになる。

 まず「南部美人 純米大吟醸 心白 山田錦」(当連載【3562】)をいただき、次に飲んだのは「南部美人 純米大吟醸 愛山」だった。

 この2種類と「酒未来」「雄町」を加えた4種類のシリーズは「純米大吟醸 ビューティーシリーズ」と称され、コメが違うだけで同じ造りをしているもの。このシリーズについて、蔵のホームページは以下のように説明している。

「南部美人の『純米大吟醸 ビューティーシリーズ』は、精米歩合・アルコール分・酵母・麹菌・仕込水など、造り方の条件を揃え異なる酒米を使用したお酒です。酒米の違いによって変わるほのかな香りと、スッキリ洗練された味わいをお楽しみください。南部美人がイメージする、綺麗で美しいお酒をより体現したシリーズです」

 直前に飲んだ「南部美人 純米大吟醸 心白 山田錦」は、メロンを思わせる果実香が極めて華やかで、甘みがかなり立つ味わいだった。

 その直後に飲んだ「南部美人 純米大吟醸 愛山」は、「山田錦」よりは香りが抑えられている。こちらを先に飲めば華やかな香り、という表現を使ったかもしれない。「山田錦」はとろみ感があったが、「愛山」はさらりとした飲み口。厚からず薄からずの厚み。甘旨みのほか、酸と辛みが出てきて、いいバランスを構成している。香りは「山田錦」より抑えられているが、メロン系のフルーティーさはある。しかし、「山田錦」ほどのフルーティーさはない。総じて「山田錦」より「愛山」の方がバランスが良く、飲みやすい、と感じた。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「幻の酒造好適米「愛山」を100%使用、50%まで磨き上げた純米大吟醸です。華やかで優雅な吟醸香が最後まで続き、どしっとしたお米の旨味・甘味の中に酸味も感じられます」

 ホームページでのスペック表示は「原料米 愛山、精米歩合50%、仕込水 折爪馬仙峡伏流水(中硬水)、酵母M310、日本酒度+1、アルコール度数16~17度、酸度1.7」。

 また、瓶の裏ラベルは、この酒を「光―形状 新たに生まれたこと  至極  恵み」と表現している。わたくしのような凡人には、さっぱり意味が分からない。もっと、下々にも分かるように書けないものか。裏ラベルのスペック表示は「使用米 愛山100%、精米歩合 50%、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分16度、このお酒は酒本来の味を大切にするため炭素ろ過をしていません。オリが沈殿することがありますが、品質には影響ありません」。

「愛山」は、兵庫県立明石農業改良実験所が1941年、母「愛船117」と父「山雄67」を交配。太平洋戦争を経て1949年に品種を固定した。母方の父は雄町系、父方は雄町と山田錦の子という、全身に山田錦と雄町の“血”がたっぷり入っている、酒米界のサラブレッド的出自を誇る。玄米が大粒で、山田錦と同等かそれ以上の、米粒の重さと、米糠割合の少なさのため、酒造効率が良く、酒造に非常に適している、という評価が高かった幻の品種。現在は、兵庫県のごく一部の生産者だけが栽培している。

 また、ラベルに「KJ」マークがある。これは、KJ(KOSHER JAPAN)のことで、ユダヤ教の教義に厳格に従った食品である「コーシャ」の認定を受けたことを意味する。

 酒名および蔵名「南部美人」の由来について、蔵のホームページの年表は、以下のように説明している。

「1951(昭和26)年。三代目・秀雄の『これからは良い酒を造らなければ』という強い信念から、南部杜氏の雇用を始める。当時の二戸税務署長の指導のもと、淡麗できれいな酒の味を『美人』に例え、南部藩という地名と合わせて『南部美人』と命名した」

酒蛙

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