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日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3936】菊正宗 純米樽酒 伝承生酛造り 上撰(きくまさむね)【兵庫県】

2019.8.27 16:57
兵庫県神戸市東灘区 菊正宗酒造
兵庫県神戸市東灘区 菊正宗酒造

 奥さまの運転手となり、スーパーでの買い物に付き合う。酒のコーナーに来たとき、「菊正宗 樽酒」が目に入った。蕎麦屋での昼酒にこれを飲んだよな。杉樽香が良かったよな。考えてみたら、家飲み酒として清酒が無くなって久しいなあ。最近の晩酌は「いいちこ」ばっかりだよな。こんなことを瞬間的に考え、衝動買いをした。

 自宅に戻り、冷蔵庫に入れよう、とおもいふとラベルを見て驚いた。蕎麦屋の昼酒で飲んだ樽酒と違うではないか。そのときの酒は「菊正宗 樽酒 生酛 本醸造」(当連載【1626】。記事の公開日は2014年6月24日)だったが、今回は「純米」だったのだ。ネット情報によると、「本醸造」が廃止され、「純米樽酒」にバージョンアップデビューしたのは2017年9月4日で、つい最近のことだった。

 さて、いただいてみる。まずは冷酒で。上立ち香は杉樽香が広がる。さわやかで、いい感じだ。期待が高まる。含むと、杉樽香がむんむん。おっと、これはかなりすごい杉香だ。飲み口は、すっきり・さっぱり、の淡麗寄りだが、まろやかで、とろみ感もある。そして、ややふくよかな旨みが適度にあり、余韻は辛みと酸と苦み。この辛・苦が全体を引き締めている。酸が感じられる、飲み飽きしないお酒だった。

 次に、ぬる燗でいただいてみる。温度は40℃ちょうど。杉香むんむんは冷酒のときと変わらず。冷酒もぬる燗も基本的に味の違いは大きく変わらないが、酸と甘・旨みがけっこう出てくる。そして、ぬる燗にすると、味幅がけっこう出てきて、厚みのある力強い飲み口になる。温度がやや下がり、燗冷ましに近くなると、酸が前に出てくる。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「約百年前に植林され、手塩にかけられた『吉野杉』。これを使って昔ながらの四斗樽を組み上げ、専用の『生酛(きもと)辛口・純米酒』を詰めると、やがて『凛として芳醇』な樽酒となります。薫風の如く爽快な香りと、キレのある『うまみ』が特長です」

 また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「生酛造りで醸した辛口の純米酒を吉野杉の酒樽に貯蔵し、一番香りの良い飲み頃を取り出し、瓶詰めした本格樽酒。純米酒らしい余韻のあるうまみに吉野杉の爽やかな香りをまとった芳醇な味わいとキリッとしたのど越しが特長です」

 瓶のラベルの表示は「製造年月2019.5、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合70%、アルコール分15%、辛口、やや淡麗、日本酒度+5.0、国産米100%使用」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 蔵のホームページによると、この蔵の創業は万治2(1659)年で、明治19(1886)年に「菊正宗」ブランドを商標登録した。「菊正宗」の名の由来について、「『日本の名酒』自宅にいながら蔵元巡りの旅」のサイトは、「『菊正宗』名前の由来:"菊正宗"の命名は、当時(明治17年)の蔵元の嘉納秋香が楠木正成の書に『菊』の字を発見し、江戸時代にブームとなっていた正宗を合わせて付けられたそうです」と説明している。

酒蛙

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