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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3897】阿櫻 純米 超旨辛口(あざくら)【秋田県】

2019.8.4 12:03
秋田県横手市 阿櫻酒造
秋田県横手市 阿櫻酒造

 休日の夕方、ふらりと近所のうなぎ屋へ。うなぎはもちろん美味しいのだが、酒がいい。定番酒はありきたりの地酒3種類ほどだが、店主の“隠し酒”が面白い。この場合の面白い、は特段意味のある言葉ではない。わたくしの興味をそそる酒が多い、ということだ。どんなルートで入れているのか興味のあるところだが、あえて聞かないことにしている。

 席につくと、なぜかわたくし係になっている仲居さんが、店主おすすめのお酒を持ってきた。今回持って来たのは「阿櫻 純米 超旨辛口」だった。「阿櫻」は、当連載でこれまで5種類を取り上げている。濃醇で酸が立つ酒、というイメージを持っていたが、今回の酒は全く違っていた。

 さらっとした口当たり。イメージしていた濃醇酒とは真逆だ。さらっとして、やわらかな口当たりでもある。やや遅れて酸が来るが、酸はあまり前に出てこない。酸は辛みを伴う。しかし、この辛みは、出しゃばらず、奥にひっそりとあるような感じ。甘みと旨みがそれぞれ、やや少ないため、すっきり・さっぱりとした飲み口になっているのか。

 ひとことで言えば、淡麗辛口でドライ感があるお酒。余韻は、酸と辛みがほのか。辛口酒によくある、コルク香というか昭和レトロ的クラシカル香味があり、日本酒オールドファンが喜びそうな香味だ。これまで「阿櫻」に対しては、濃醇で酸が際立つ酒をイメージして来たが、今回の酒は淡麗で、イメージとは真逆だった。

 蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。「日本酒度+10のシャープなキレの超辛口の純米酒です。キレの良い飲み口の中にも、お米の旨みをしっかりと感じられるお酒です。冷からぬる燗まで幅広い温度帯で味わうことができるお酒です。

 瓶のラベルの表示は「原材料名 米(秋田県産)米こうじ(秋田県産米)、アルコール分15度、精米歩合60%、製造年月31.3、山内杜氏 照井俊男」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念。しかし、蔵のホームページはさらに「原料米 ふくひびき、酵母 協会901号、日本酒度+10、アルコール度15.3度、酸度2」とスペックを詳しく開示している。

 使用米の「ふくひびき」は農林水産省東北農業試験場水田利用部稲育種研究地が1982年、母「コチヒビキ」と父「奥羽316号」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1993年に命名、1995年に種苗法登録された、他用途向け、超多収を目標に育成された多収品種。他用途とは、主食用米以外に使用するコメという意味だ。

 酒名および蔵名「阿櫻」の由来について、蔵のホームページは、「横手市のシンボルである横手城の別名は、『阿櫻城』とも呼ばれております」と説明している。

酒蛙

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