メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3872】獺祭 純米大吟醸 45(だっさい)【山口県】

2019.7.22 21:37
山口県岩国市 旭酒造
山口県岩国市 旭酒造

【日本酒研究会月例会 全7回の④】

 異業種間の日本酒研究会。単なる飲み会だが、ちょっと気どって研究会だ。足掛け13年目に突入した超長寿飲み会。M居酒屋で毎月開いてきたが、この間、一度も休まず飲んできた。みなさん、なんと研究熱心なことか。今回は6人での月例会となった。

「玉の雫 純米」「文華 純米吟醸 壺中の天」「田酒 特別純米」と飲み進め、4番目にいただいたのは「獺祭 純米大吟醸 45」だった。

 この酒を持ってくるとき、直前に飲んだ「田酒 特別純米」同様、店主のひとこと解説があった。「これまで『獺祭』のレギュラー酒は『獺祭 純米大吟醸 50』だったけど、今度から『45』になったんです」。「田酒」のレギュラー酒は火入れを1回にし、「獺祭」のレギュラー酒は精米歩合を変える。超有名地酒蔵でも、レギュラー酒をどんどん変えていく現実を目の当たりにし、清酒業界が置かれている厳しさを感ぜずにはいられない。十年一日、同じものを造っていては、トップランナーといえど、立ちいかなくなる、との蔵元さんのおもいが伝わってくる。

 後日、獺祭蔵のホームページを見てみたら、ラインナップからやはり「50」は消えていた。

 さて、これで「獺祭」のラインナップは、二割三分(精米歩合23%)、三割九分(同39%)、45(同45%)の三本となった。ちなみに「獺祭」の酒は、すべてが純米大吟醸で、すべての原料米は山田錦だ。さて、「45」を初めていただいてみる。

 酒蛙「グラスに鼻をすこし近づけただけで芳香がする」
 Y 「イチゴの香りかな」
 S 「言われるとそう感じる」
 M 「旨みがたっぷりあるね」
 酒蛙「やわらかな飲み口。直前に飲んだ『田酒 特別純米』より旨みが厚い。余韻は苦み」
 M 「日本酒らしいね」
 酒蛙「酸がきれい。果実香味は、悔しいけどYちゃんが言った通りイチゴにおもえてきた。“Yマジック”だ」
 Y 「わははは。認めさせたぞー!
 酒蛙「ん? 待てよ。この果実的芳香は、ブドウ・マスカット系じゃないか?」
 Y 「言われてみれば、ブドウのような気がしてきた」
 酒蛙「う~ん、非常に旨いんだけど、『50』との違いが分からない。グラスを2つ並べて飲み比べれば違いは分かるかもしれないけど、造りがもし同じだとすれば、この5%の違いを味できき分けるのは困難かも」

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「『美味しくなければ意味がない』獺祭のスタンダード。山田錦を45%まで磨いた。米由来の繊細な甘みと華やかな香り」

 ラベルの表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合45%、製造年月19.05」にとどまり、使用米の品種名が書かれていないのは残念だ。この蔵は全量山田錦を使っているため表示していないのだろうが、知らない人が多いだろうため、ここはやはり明記すべきだと考える。

 ところで、この蔵は、なぜレギュラー酒の精米歩合を5ポイントアップし45%にしたのだろう。「獺祭が目指す理想のレギュラー酒を追究した結果、精米歩合が45%になった」が、おそらくは公式見解ではないか、とおもう。ただ、一方で、50%を切ることに意義があったのでは?と勝手に邪推する。というのは、以前と比べ、純米大吟醸を造る蔵がずいぶん増えてきた。それに伴い、さまざまな純米大吟醸が世に出回ってきた。そして、そのほとんどの精米歩合が、基準内最大の50%だ。全量純米大吟醸を生産し、純米大吟醸のトップランナーを自負しているこの蔵としては、これらと差別化を図るため、45%にしたのではないか、とあくまでも個人的におもっている。

 酒名「獺祭」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「弊社の所在地である獺越の地名の由来は『川上村に古い獺がいて、子供を化かして当村まで追越してきた』ので獺越と称するようになったといわれておりますが(出典;地下上申)、この地名から一字をとって銘柄を『獺祭』と命名しております。獺祭の言葉の意味は、獺が捕らえた魚を岸に並べてまるで祭りをするようにみえるところから、詩や文をつくる時多くの参考資料等を広げちらす事をさします。
 獺祭から思い起こされるのは、明治の日本文学に革命を起こしたといわれる正岡子規が自らを獺祭書屋主人と号した事です。『酒造りは夢創り、拓こう日本酒新時代』をキャッチフレーズに伝統とか手造りという言葉に安住することなく、変革と革新の中からより優れた酒を創り出そうとする弊社の酒名に『獺祭』と命名した由来はこんな思いからです」

酒蛙

関連記事 一覧へ