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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3838】雨後の月 純米吟醸 愛山 足立かき沼別注品 生(うごのつき)【広島県】

2019.6.19 16:43
広島県呉市 相原酒造
広島県呉市 相原酒造

【B会 全7回の⑥】

 T社のFとY、小社のHとわたくし、という異業種間の飲み会。以前は2カ月に1回だったが、最近は毎月開いているような気がする。会場はB居酒屋だから、飲み会の名は、B会だ。

「三千盛 純米大吟醸 しぼりたて 生酒」「勢起 金紋錦 純米 低温熟成」「宝剣 純米 生 レトロラベル」「田光 純米吟醸 山田錦 無濾過生酒」「若波 純米吟醸 壽限無 生酒」と飲み進め、6番目にいただいたのは「雨後の月 純米吟醸 愛山 足立かき沼別注品 生」だった。

「雨後の月」は飲む機会が多い酒で、今回のお酒を含め、当連載で16種類を取り上げている。このうち6種類は、このB居酒屋で飲んでいる。店長に聞いたら「『雨後の月』が好きなお客さんがいるもんで」とのこと。よっぽどの常連さんなんだろうな、そのお方は。さて、今回のお酒をいただいてみる。

 F 「すごいっす。フレッシュ」
 酒蛙「旨い! やわらか。すごくやわらか」
 F 「バナナ香! バナナ香華やか」
 Y 「バナナありますね」
 F 「この酒、ベタベタ感が全然無い」
 酒蛙「非常にきれいな酒。酸もある。旨みもある。甘みもある。キレも良い」
 F 「飲み飽きしないお酒だ」
 酒蛙「まったく同感だ。それにしても、こんなにやわらかなお酒は珍しい」

 瓶の裏ラベルには「昨日の夜は・・・」と題し、以下の文章が掲載されている。

「『うわ、もうこんな時間 やばい 寝坊しちゃう』良一郎はベッドから急いで起き上がった。『そうだよな~。昨日はいろんな銘柄の愛山ばっかり飲んだからな~飲みすぎちゃったかな~ やっぱ愛山っていいよな~』 でも、まだまだ 俺には知らない『愛山』がどこかにあるんだろうな~。そんな、1本に出会いたい・・ そしてそんな最高の1本にお客様に出会って欲しい。相原酒造さんのご協力のもと 足立かき沼別注の愛山がここに誕生しました。数ある『愛山』の中でも兵庫県加東市のこうせつたなか様から頂戴した最高ランクの愛山を使用しております。飲みすぎ注意報!」

 この文章、なんのこっちゃ、とおもったが、文の下に「KAKINUMA www.kakinuma-tokyo.co.jp」の文字が。要するに、このお酒は、東京都足立区・かき沼酒店が、相原酒造に造ってもらった“オリジナル雨後の月”だったのだ。これで、上記の文章は納得。

 かき沼酒店のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「華やかな香りと爽やかな後口を楽しめる逸品に仕上がりました」「愛山米の特長のふくよかな旨みを大切にしつつ、艶やかな香りとスッキリとした後口を表現していただきました」

 使用米の「愛山」は、兵庫県立明石農業改良実験所が1941年、母「愛船117」と父「山雄67」を交配。太平洋戦争を経て1949年に品種を固定した。母方の父は雄町系、父方は雄町と山田錦の子という、全身に山田錦と雄町の“血”がたっぷり入っている、酒米界のサラブレッド的出自を誇る。玄米が大粒で、山田錦と同等かそれ以上の、米粒の重さと、米糠割合の少なさのため、酒造効率が良く、酒造に非常に適している、という評価が高かった幻の品種。現在は、兵庫県のごく一部の生産者だけが栽培している。

 酒名「雨後の月」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「蔵を代表する酒『雨後の月』は、小説家・徳富蘆花が明治33年に発表した随筆『自然と人生』の短編題より二代目・相原格が命名しました。『雨あがりの空に、冴え冴えと光輝く月が周りを明るく照らす』そんな澄みきってうつくしい酒を醸したいと、蔵人が常に目標に掲げる名前です」

 ちなみにわたくしは、この「自然と人生」(岩波文庫)を学生時代購入したが、「雨後の月」の章まで読み進めないうちにギブアップ、いまだに書棚のこやしであり続けている。

酒蛙

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