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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3822】新政 涅槃龜 96%低精米酒 生酒(あらまさ にるがめ)【秋田県】

2019.6.2 23:20
秋田県秋田市 新政酒造
秋田県秋田市 新政酒造

【S居酒屋にて 全9回の②】

 飲み仲間のK、Tと久しぶりに飲む。これにわたくしの同僚Wが加わる。場所は、何回かお邪魔し、気に入っているS居酒屋。日本酒約200種類を常備しているので、とても勉強になる。フロアを仕切るSさんは博識で、分からないことを聞くと、即答してくれ、これまた勉強になる。

 Sさんが「花見ロ万 純米吟醸 低アルコール一回火入れ」に続いてもってきたのは「新政 涅槃龜 96%低精米酒 生酒」だった。「新政」は、これからの酒造業界をリードしていくであろう蔵の一つ。さまざまなことにチャレンジしている注目蔵だ。歩みを止めることなく、常に目標を定め、それに向って邁進しているように見える。飲む機会が非常に多い酒で、今回の酒を含め、当連載で21種類を取り上げている。

 今回の酒は仰天だ。精米歩合96%とは! 糠(ぬか)などコメの外側を4%削り、残る96%で酒を醸す、という意味だ。食用米の精米歩合は約92%だから、それよりも低精白とは! 低精白米で酒を醸すのはトレンドの一つとなっているが、それも80~90%。一気に96%とは驚きだ。ごはんより低精白とは信じられない。まずは、いただいてみる。

 K 「これ、旨い!」
 W 「たくさんの味が出ている」
 K 「たくさんの味が詰まっているね」
 酒蛙「旨みがまず立ち、酸が旨みを追いかけていく感じ。精米歩合96%とはおもえない、きちんとした味わいだ」
 K 「うん、おもえない」
 W 「味が濃いね」
 酒蛙「これまで飲んできた『新政』より、心持ち酒質がスリムのようにおもえるが、気のせいだろうか」
 K 「甘みが出てきた」
 酒蛙「余韻の苦みがアクセントになっている。味の主な構成要素は、旨・酸・甘・苦で、これらのバランスが非常に良い。96%とはおもえない」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「当蔵の実験ライン『プライベートラボ』シリーズ、最後の一角『低精白純米酒』を担う『涅槃龜』が今季も登場です。今回は、昨年の90%からさらにコンセプトをグレードアップ(精米歩合はグレードダウン!)して、96%バージョンを生酒で投入いたします。『涅槃龜』の訴えるところは、精米自体は機械が行うものであって、蔵個々の特性はそこにはあらわれにくいものだということです。『ひたすら削る時代』は平成とともに終わりを告げ、『個性と多様性の時代』が始まります。本作品もその潮流のひとつとしてご鑑賞いただければ幸いです」

 裏ラベルの表示は「アルコール分14度、精米歩合96%(麹米、掛米ともに96%)、原材料名 米(秋田県産)米こうじ(秋田県産米)、原材料 あきた酒こまち(酒米)100%使用(2018年 秋田市河辺地区収穫)、杜氏名 植松誠人、製造年月2019.01(瓶詰時期)、出荷年月2019.03」

 使用米の「秋田酒こまち」は秋田県農業試験場が1992年、母「秋系酒251」(その母は「五百万石」)と父「秋系酒306」(その父は「華吹雪」)を交配。育成と選抜を繰り返し開発、2004年に品種登録された酒造好適米だ。

 蔵名および酒名「新政」の由来についてコトバンクは、「酒名は、明治新政府の施政大綱『新政厚徳』に由来」と説明している。

 なお、裏ラベルには「当蔵の方針」と題し、以下のコンセプトを掲げている。

「当蔵は素材の魅力を最大限に表現するため、生酛造り・純米造りに徹しております。使用しても表示する義務がない以下の添加物・・・酸類(醸造用乳酸など)・無機塩類(硝酸カリウムなど)・酵素剤(アミラーゼなど)を用いることはありません」

酒蛙

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