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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3779】天上夢幻 旨口 特別純米(てんじょうむげん)【宮城県】

2019.4.16 16:17
宮城県加美郡加美町 中勇酒造店
宮城県加美郡加美町 中勇酒造店

【S居酒屋にて 全6回の②】

 足掛け13年間続いている日本酒研究会(単なる異業種間の飲み会だけど…)の今後の運営方針について、Mと飲みながら、なじみのうなぎ屋さんで話す。2人で3時間半も話してしまった。Mは家に直帰したが、わたくしは繁華街にあるS居酒屋へ。このコースは3回目だが、早くもお約束コースとなってしまった。

 店主が「鳥海山 スパークリング 生酒」に続いてもってきたのは「天上夢幻 旨口 特別純米」だった。この蔵のお酒はこれまで「天上夢幻」を2種類、「夢幻」を1種類飲んでいる。さて、いただいてみる。

 酒蛙「おっ、旨いね♪ 上品な香りが鼻腔をくすぐる。酸味と旨みが良く出ている。酸と旨みの背後に辛みが静かにある、というイメージだ。やさしくて、ふくよかな飲み口。いい感じにまとまっている」
 店主「バランス良くきれいにまとめています」
 酒蛙「余韻の苦みと辛みがいいね。やや軽めで、酸がいいので飲み飽きしない。肩肘張らず、ゆるゆると飲めるのがいいね」

 蔵のホームページは、この酒を「酸味・旨味・香りのバランスが良く、柔らかな味わいの純米酒です。飲み飽きせず、料理と楽しむ食中酒として最適」と紹介している。まったくその通りだとおもった。蔵のホームページやラベルに掲載されている酒の紹介文とじっさいの味とに乖離がみられることがしばしばあるが、これは、まさしくどんぴしゃり。この蔵の誠実さがうかがえる。

 瓶の裏ラベルの表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合60%、アルコール分17度以上18度未満、日本酒度±1、酸度1.8、仕込水 奥羽山系伏流水、製造年月31.1」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 蔵のホームページによると、酒名「夢幻」は画家・登山家の故岡部一彦さんによる命名という。宮城県ホームページは、そのいきさつについて、「『夢幻』誕生の秘話」と称し、以下のように紹介している。

「昭和50年頃,『夢幻』は誕生した。普通酒主体の時代だったが,“洋酒のようにオンザロックでも飲める日本酒”を目指し,『吟醸原酒』を世に送り出した。しかし,時代の先を行きすぎたのか,普通酒になれた人々の評価は今ひとつだったらしい。

そんな時,その酒を手がけた先代蔵元の弟,信三さんが,好きな山登りに出かけた時,新しい歴史が動き出した。

『宮城と山形の県境に,だれも登ったことがない大岩壁があるーという話を聞いてさっそく出かけたことがありました。案内してくれた地元の山岳会の方々が,初登岩を祝っておもむろに出してくれた地酒の,まるで最上等のホワイトワインのような味と香りにびっくり仰天。全国を旅して,各地の酒を飲みなれている一同も,けた違いのこの酒には,あいた口がふさがりませんでした。以来,皆の忘れられないあこがれの酒となってしまったのです』と,旅行雑誌に紹介した人こそ画家であり登山家の岡部一彦さんだった。

『まさに夢,幻の味わい』と岡部さんがその場で『夢幻』と命名。以後,首都圏で火がつきベストセラー『夢幻』が誕生することとなった」

 岡部一彦さんは、ウィキペディアによると、「アッちゃん」「アツカマ氏」などの漫画で知られ、大の鉄道・飛行機マニアでもある岡部冬彦さん(1922年12月27日 - 2005年5月16日)の兄。

酒蛙

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