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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3766】悦凱陣 無ろ過生 八反 純米 山廃仕込(よろこびがいじん)【香川県】

2019.4.1 15:40
香川県仲多度郡琴平町 丸尾本店
香川県仲多度郡琴平町 丸尾本店

【B居酒屋にて 全4回の③】

 ウイークデーの夕方。会社から帰宅後、ふらりとB居酒屋へ。この店は、冷蔵庫に入れている酒の種類数が多い。しかも、時々、入れ替えもしている。だから月に1回、暖簾をくぐることにしている。新しい酒を知ることができ勉強になるし、当連載の取材にもなる。

「庭のうぐいす 純米吟醸 あらばしり 生酒」「燦然 特別純米 雄町 原酒生詰」と飲み進め、3番目にいただいたのは「悦凱陣 無ろ過生 八反 純米 山廃仕込」だった。「悦凱陣」は飲む機会が多い酒で、今回の酒を含め、当連載で14種類を取り上げている。今回の「八反」は初めて目にする。かなりレアな酒なんだろう。さて、いたたいてみる。

「悦凱陣」といえば、濃醇で酸が強く、極めてパワフルな酒、というフルボディー酒をイメージするが、これは、アタック及び飲み口が軽くてシャープ感があり、びっくり。酸も来る。辛い。かなり辛い。ラベルを見たら+15。けっこうドライ感があるが、旨みもちゃんと残っているのがいい。辛いだけのドライなだけな酒ではないところがいい。無論、キレが良い。

 実に複雑な旨み。余韻は複雑な辛み。ざっくりひとことでいえば、「軽い酸辛酒」。濃い味の料理や、脂っこい料理に合いそうだ。これまでの「悦凱陣」とはまったく違う飲み口で、面食らう。店主も「イメージしていた『悦凱陣』じゃなかった」と戸惑いを隠せない。イメージするこれまでの「悦凱陣」がナタだとすれば、これは「ナイフ」。それほどの違いがある。そしてこの酒は、古本屋的漬物的穀物的ばあちゃんのタンス的な香味が、かなり出ている。この香味は好き嫌いが分かれそうだ。いかにも山廃的なのだが・・・。

 ラベルの表示は、「原料米 広島県産八反100%、精米歩合70%、仕込総米1,000kg、日本酒度+15度、使用酵母 熊本9号、原材料 米・米麹、アルコール分19.0以上20.0未満、酸度2度3分、醪日数30日」。

 広島県福山市の「福田商店が運営する広島の日本酒を専門通販 広島SAKE倶楽部です」のホームページが使用米の「八反」について分かりやすく説明をしているので、以下の転載する。

「『八反』が生まれたのは明治時代。民間の育成家だった、大多和柳祐氏が最初に手がけて、明治8年に育成したとされています。それから『八反』は研究を重ねて年を経るごとに品種改良も成された。大正10年に『八反10号』、昭和35年には『八反35号』が育成された。そして昭和40年には『八反40号』が誕生。それから19年経って、全国に名を馳せることになる『八反錦」』が、新しい品種として登場したのです」

「八反錦」は、広島県立農業試験場が1973年、母「八反35号」と父「アキツホ」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1983年に命名、1984年に種苗法登録された、全国に知られる人気酒造好適米。

 ウィキペディアによると「『八反』は姉妹種が多いが単に『八反』といったときには『八反35』をさす」とのこと。したがって、今回の酒の「八反」は、「八反35号」をさすものとみられる。

「悦凱陣」の酒名の由来について、「『日本の名酒』自宅にいながら蔵元巡りの旅」というサイトは「"悦凱陣"の命名は、酒蔵のご子息が日露戦争に従軍し無事帰った事で、主人が喜んでこの勇ましい名前になったということです。酒名は日清・日露戦争の戦勝を祝ったことが由来との説もありました。現在は未確認ですので、正確な由来が分かりましたら掲載します」と説明している。

酒蛙

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