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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3763】 残骸 2 三芳菊 責めのブレンド 無濾過生原酒(ざんがい)【徳島県】

2019.3.29 16:22
徳島県三好市 三芳菊酒造
徳島県三好市 三芳菊酒造

【TU会例会 全4回の④完】

 2カ月に1回のペースで、M居酒屋で開いている異業種間飲み会「TU会」。今回は5人が参加、にぎやかに飲み、にぎやかに酒を論評し合った。

「四海王 純米大吟醸 山田錦 生貯蔵」「憲 Ken Blue 純米吟醸 無濾過生原酒」「東洋美人 純米吟醸 大辛口」「黒牛 純米」と飲み進め、最後5番目にいただいたのは「残骸 三芳菊 責めのブレンド 無濾過生原酒」だった。

 三芳菊酒造の酒造りは、良い言葉でいえば、自由奔放にして柔軟性に富む。あまり良くない言葉でいえば、ハチャメチャだ。最近では、そのハチャメチャぶりを期待しながら飲むという、なにやら変態っぽいう飲み方になってきている自分が怖い。

 例えば、「三芳菊 雄町 純米吟醸 生原酒」(当連載【56】)は、日本一甘い酒ではないかとおもうほど過激に甘い。「三芳菊 阿波五百万石 純米吟醸 生原酒 ワイルド・サイドを歩け」(当連載【2798】)はフルーティーで甘い。「超辛口がお好きでしょ。2 純米吟醸 無濾過生原酒」(当連載【3694】)は過激に酸っぱい。これらは、脈絡がとれていない。ハチャメチャだ。いや、造りたい酒を既成概念・固定観念にとらわれず、自由奔放・柔軟に造っている。

 今回の酒も、自由奔放にして柔軟性に富む。逆にいえばハチャメチャ。なんてったって、使用米3種類の責めの部分だけをブレンドしてつくった酒というから前代未聞だ。「責め」とは、搾る作業の最後に、圧力を強くかけ押し出される部分の酒。品質的には、酒の一番美味しいところといわれる「中取り」の方が上、と一般的にいわれている。今回の責めの部分のブレンド割合は山田錦30% 雄町30% 五百万石40%。目立つようにラベルに書かれている。さて、いただいてみる。

 酒蛙「甘旨酸っぱい!」
 W 「すごく酸っぱいっすね~!!!」
 TU「リンゴの品種『とき』の香り。酸が来て、甘みが来て、後味は何も残らない」
 SG「全然残らない」
 酒蛙「パイナップル系の南国果物濃厚ジュースのような感じ。それでいてキレが良い」
 W 「酸っぱくて、日本酒らしくない。ワインみたいだ」

 ここで、ラベルをしげしげと見ていたTUが、素っ頓狂な声を上げた。「なにこれ! 住所のサラダってのは!」たしかに、徳島県三好市池田町サラダ1661、と書かれている。みんな「・・・・・」。後日、ネットで調べてみたところ、サタダという地名の由来には、以下の2説があった。1つは「サラダは、阿波池田駅前の市街地。この地区が皿のような地形で、皿田が由来だとのこと」、2つ目は「更田=更の田んぼ=新田という意味」。どっちとも言えないが、皿田の方に軍配を上げたい。なぜなら、更田はどこにでも普通にあるから。さて、気を取り直して飲み直す。

 酒蛙「旨い、旨い、これ好きだ。『超辛口がお好きでしょ。2』よりは酸っぱくないけど、十二分に酸が出ており、旨みと相まって非常に旨い。超ジューシー。責めの部分は、甘旨みがあまり出ず、味がスカスカしているものが多いが、これは違う。すごい」
 TU「すごい酸っぱい!」

 ラベルの表示は「三芳菊 責めブレンド 山田錦30% 雄町30% 五百万石40%」「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合60%、アルコール分17度、製造年月31.1」。

 ラベルに「ワイルドサイドを歩け」と書かれている。以前飲んだ「三芳菊 阿波五百万石 純米吟醸 生原酒」にも書かれている。ラベルにその説明は一切無い。ただ、蔵のホームページには、以下のような説明記事が掲載されている。

「ルー・リードが1972年に発表した『ワイルドサイドを歩け』という曲をご存知ですか。彼は自分の歩きたい道があるなら、危険を犯してでも、歩き続けることは楽しい..と言っています。それはまさに、三芳菊の世界。日本酒の常識や古い考えに捉われずに、お客さまが喜んでいただけることだけを考えて、日本酒を作ってきました。おかげさまで、初めて飲んでいただいたお客さまが『これが日本酒?』とファンになっていただいています。他の日本酒とは全く異なるテイストをぜひお試しください。一緒にワイルドサイドを歩きましょう!」

 酒名「三芳菊」の由来について、コトバンクは「その香芳しく、その色淡く、その味美しき」の意味を込めて命名」と説明している。酒名「残骸」は、責めが酒の最後の残りの部分だから、そう例えたのだろう。

酒蛙

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