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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3701】土佐鶴 辛口吟醸 大吉祥(とさつる だいきっしょう)【高知県】

2019.1.23 15:34
高知県安田町 土佐鶴酒造
高知県安田町 土佐鶴酒造

【B蕎麦屋にて 全6回の⑥完】

 2カ月ぶりに、山友のタケちゃん&ちふみん夫妻と飲んだ。この二人と飲むときは、B蕎麦屋と決めている。蕎麦屋の店主を含め、みんな仲良しなのだ。この蕎麦屋は、手打ちそばはもちろんおいしいが、ふつうの蕎麦屋では置いていないお酒を出してくれるのがうれしい。

「緑川 純米吟醸 雪洞貯蔵酒 緑」「松の司 純米吟醸 楽」「末廣 伝承 生酛純米」「鳥海山 純米大吟醸 雫酒」「南部美人 大吟醸」と飲み進め、最後6番目にいただいたのは「土佐鶴 辛口吟醸 大吉祥」だった。

「土佐鶴」は今回の酒を含め、当連載でこれまで3種類を取り上げている。有名地酒にしては飲んだ種類数は少ないが、過去数年間、家飲み晩酌酒に「土佐鶴 本醸辛口」をずっと使ったことがあり、非常になじみ深い銘柄だ。今回の酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「辛口であることは辛口だが、甘みもあり、すっきりした飲み口。中盤から余韻は辛み。辛みはずーっと尾を引く」
 タケちゃん「味わい深い」
 酒蛙「ひとことで言うならば辛甘酒だが、辛みは甘みよりはるかに勝る」

 蔵のホームページはこの酒を「華やかな吟醸香にスッキリとした味わいの吟醸酒です。料理の美味しさを引き立てる辛口吟醸の絶妙な余韻をお楽しみください」

 瓶のラベルの表示は「精米歩合50%、アルコール分15.0度以上16.0度未満、原材料名 米・米麹・醸造アルコール、原料米はすべて国産米」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だが、蔵のホームページには、使用米のほか、その他のスペックも以下のように開示されている。「日本酒度+8 (標準)、酸度1.0 (標準)、原料米 松山三井・あけぼの」

「松山三井」は、愛媛県農事試験場が、母「近畿25号」と父「大分三井120号」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1953年に命名された主食用米。食味が良いことから一時期、作付面積が全国1位だったこともある。しかし、大粒で粘りがすくないことから次第に衰退していった。しかし、大粒でタンパク質が少なく砕けにくい、という性質は、醸造用米としては最適。このため近年、醸造用米として注目され、いま“第二の人生”を歩んでいる。

「アケボノ」は1939年、農林水産省東海近畿農業試験場/栽培部稲育種研究室が母「西海15号」と父「朝日」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1953年に命名された食用米。半世紀以上にわたって栽培されている、根強い人気のコメ。現在はほとんどが岡山県で栽培されている。

 酒名および蔵名「土佐鶴」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「今を去る千有余年の昔、土佐国司の任を終えた紀貫之は帰洛の途上、蒼海と松原に舞う鶴の一群を眺め、土佐への慕情たっぷりに一篇の歌を詠みました。
   『見渡せば 松のうれごと 棲む鶴は 千代のどちとぞ おもふべらなる』
土佐鶴の酒銘はこの歌の吉兆鶴にちなみます。悠久の昔から続く雄大な土佐の自然。酒と夢をこよなく愛する土佐の人々。日本國土佐の風土は千年の時を超え、今もしっかりと息づいています。土佐鶴は一献の酒に平安のロマンをたたえ、時代を超えて『人の心』を打ち続けたいと願っています」

酒蛙

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