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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3683】始禄 バリ酸(しろく)【岐阜県】

2019.1.4 11:34
岐阜県瑞浪市 中島醸造
岐阜県瑞浪市 中島醸造

【S居酒屋にて 全13回の⑪】

 日本酒研究会の遠征場所が開かれ現会員・OB会員合わせて10人が参加した。場所はMうなぎ屋さん。それぞれ9種類の酒を飲み解散。このうちF、SA、わたくしの3人で二次会に繰り出した。場所は、わたくしなじみのS居酒屋。市内繁華街の中心地にある。わたくしは、酒のユニークな品ぞろえが気に入っている。

「太閤 門傳 純米」「東錦 純米 生貯蔵」「東錦 極 大吟醸 生貯蔵」「綿屋 純米大吟醸 雄町」「綿屋 百年酵母 特別純米」「小左衛門 Dessin 米の芯 生酒」「卑弥呼の里 談山 古代米(黒米)酒」「遊穂の湯~ほっ。 純米酒熟成」「篠峯 雄町 凛々 純米吟醸 生原酒うすにごり」「三井の寿 純米吟醸 山田錦60 バトナージュ」と飲み進め、店主が11番目に持ってきたのは「始禄 バリ酸」だった。

 この蔵のお酒は「小左衛門」が知られ、当連載では「小左衛門」を8種類を取り上げているが、「始禄」は今回が初めてだ。このお酒を持ってくるとき、店主は「この酒、酸がずいぶん出ていますよ~~♪」といたずらっぽく笑いながら紹介してくれた。グラスに注ぐと酒にかなり色がついている。いかにも熟成酒だ。さて、いただいてみる。

「うわっ!」。おもわず声が出た。非常に太くガツンとくる酸が出ているのだ。そして、その酸が非常にいい。酸味酒が好きなわたくしとしてはたまらない。色の通り、やはり熟成香むんむん、紹興酒的だ。がっしりした旨みと相まって甘旨酸っぱい味わい。酸が全体を支配している。ものすごく良い。

 瓶のラベルの表示は「原材料 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、アルコール分17%、精米歩合60%、火入、酸度4.9、日本酒度-17、製造年月2018.8」。

 酸度4.9とは仰天だった。こんなに高い酸度の酒を飲んだ記憶が無い。ミツカン酢のホームページを見ると、主力の穀物酢の酸度が4.2、米酢が4.5となっており、「始禄 バリ酸」は酢より酸度が高いのだ。また、日本酒度-17にもびっくりだ。数値だけだと超甘口の酒だが、飲んでみると、酸が極めて強いせいか、それほど甘口には感じられなかった。

 酒名「始禄」「小左衛門」の由来は、蔵のホームページの年表を見れば分かる。そこには、以下のように書かれている。「元禄15(1702)年:当代 中島小左衛門用信が年貢米を活かし酒造りを始める」。つまり「小左衛門」は、初代当主の名前だったのだ。それにしても年貢米を生かし酒造りを始めたとはすごい。また、元禄時代に酒造りを始めたから「始禄」だ。

 ラベルには特定名称酒の区分が表示されていないが、ラベルのスペックから類推すると、普通酒、特別本醸造酒、吟醸酒のいずれかだろう。特定名称酒の区分を表示していないのは残念だ。飲み手のために表示をした方が親切だ。もし、これが普通酒だとしたら、スーパー普通酒だとおもう。

酒蛙

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