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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3676】綿屋 純米大吟醸 雄町 21BY(わたや)【宮城県】

2018.12.28 16:55
宮城県栗原市 金の井酒造
宮城県栗原市 金の井酒造

【S居酒屋にて 全13回の④】

 日本酒研究会の遠征場所が開かれ現会員・OB会員合わせて10人が参加した。場所はMうなぎ屋さん。それぞれ9種類の酒を飲み解散。このうちF、SA、わたくしの3人で二次会に繰り出した。場所は、わたくしなじみのS居酒屋。市内繁華街の中心地にある。わたくしは、酒のユニークな品ぞろえが気に入っている。

 店主が「太閤 門傳 純米」「東錦 純米 生貯蔵」「東錦 極 大吟醸 生貯蔵」に続いて持ってきたのは、「綿屋 純米大吟醸 雄町」だった。

 わたくしが「『綿屋 純米大吟醸 雄町』は以前に飲んだことがあるよ~」(当連載【1604】で取り上げている)と言ったら、店主が「ふふふ」とおもわせぶりな笑みを浮かべたあと「実はこれ、ふつうの綿屋じゃないんです。21BYなんです」。21BYとは、平成21年7月1日から平成22年6月30日までの間に醸したお酒、という意味だ。すなわち、単純計算で9年古酒ということになる。しかもラベルによると製造年月は2018(平成30)年9月。9年間、蔵で熟成させたのち、蔵出しされたばかりのお酒ということになる。

 驚いた。酒に色がついていないのだ。9年古酒ともなれば、黄色い色がつくはずだ。それが、全然色づいていないのだ。かなりの奇跡ではないか。よっぽど低温で貯蔵したのだろう。さて、いただいてみる。

 酒蛙「旨み、辛み、酸味がそれぞれ、いい感じで出ている」
 F 「いろんな味が出ている」
 酒蛙「9年古酒とはおもえないフレッシュさだ。しかも大人しい酒質ながら力強さがある」
 F 「けっこうシャープです」
 SA「そうそう。雄町酒の割にはすっきりしています」
 酒蛙「9年古酒なのに、古酒香(熟成香)がまったくしていない。これは奇跡だ。いま、ちょうど良い飲みごろだ。ということは、9年前の新酒時には、よっぽど硬い酒だったんだろうな。9年かけて、ここまで丸くしたんだろうな」

 驚きの連続だった。「綿屋」は、いまや、宮城県の地酒の中で最も人気のある銘柄の一つ。時として、プレミア価格を呼んだりする。当然、わたくしも飲む機会が多いお酒で、これまで、16種類を当連載で取り上げている。数えたことはないが、たぶん、当連載で最も種類が多い銘柄の一つであることは間違いない。その「綿屋」に、このような仰天酒があるとは! 懐が深い金の井酒造、である。

 瓶の裏ラベルの表示は「醸造酒米 岡山県赤磐産雄町100%、アルコール分15度以上16度未満、原材料名 米・米麹、精米歩合50%、日本酒度+5、酸度1.8、使用酵母 宮城酵母、杜氏名 南部杜氏 玉山博昭、製造年月 18.9、21BY」

 酒名「綿屋」の由来について、コトバンクは「酒名は、創業時の屋号『綿屋酒造』に由来」と説明している。

酒蛙

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