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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【135】東北泉 雄町純米 辛口 生原酒(とうほくいずみ)【山形】

2010.5.12 23:36
山形県飽海郡遊佐町 高橋酒造店
山形県飽海郡遊佐町 高橋酒造店

 わたくしと仲が良い会社同僚1人と、これまた仲の良い某銀行の2人とで、個人的な飲み会(わたくしを含め4人の飲み会)。場所は、わたくしの行きつけの一つのKA居酒屋。

 酒が苦手な人が多いためビールや焼酎を付き合って飲み、わたくしが酒にありついたのは、飲み会の終盤。ある酒の次に飲んだのが、「東北泉 雄町純米 生」。「うめぇ~!!!」。おもわず叫んでしまった。

 「東北泉」といえば、わたくしのイメージは、きれいで自己主張の少ない上品な酒、だった。そのつもりで飲んだのだが、なんとなんと、従来のわたくしのイメージとは全然違っていた。

 一言で表現するならば、ずばり「野武士」。濃醇。どっしり重量感。力強い。凝縮したコメの旨みが広がる。香らず、酸味が強い辛口。余韻も辛口。これらをひとことでいうならば、質実剛健。わたくしの最も好きなカテゴリー。

 このKA居酒屋は以前から、東北泉を置いているが、この酒を飲むのは初めてだ。「この酒、どうしたの?」と女将に聞くと、「出入りの酒屋さんから勧められたんですよ」。

 あ、なるほど。この一言で分かった。わたくしの酒の先生の一人は、なじみの酒屋の主人。その彼の息子が、東北泉の蔵に入っている。息子が醸した酒だったのだ。だから父は、この酒を勧めたのだ。

 この酒屋は、何年も前から、各種東北泉を取り揃えている。主人はずっと、わたくしに「東北泉」を勧めてきた。なぜ東北泉なのだ? なぜ入れ込んでいるのだ? 以前、その疑問を主人にぶつけてみた。「息子が蔵にいるんですよ」。なるほど。いい親だ。息子が入った蔵の酒を一生懸命売っているのだ。応援しているのだ。

 その後、息子は杜氏になったという。この「雄町純米」も息子が醸した酒なのだろう。息子が醸した酒を父が売る。なんと素晴らしいことか。

 酒名「東北泉」の由来について、「日本の名酒事典」は「“東北”にある鳥海山麓の“泉”から湧き出る清水で醸す酒、という意味で命名」と説明している。

【備考】
この記事は2010年5月12日に初公開、その後一部加筆されました。

酒蛙