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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【172】昇龍蓬莱 純吟 阿波山田錦55 槽場直詰 無濾過生原酒(しょうりゅうほうらい)【神奈川】

2010.6.6 0:17
神奈川県愛甲郡愛川町 大矢孝酒造
神奈川県愛甲郡愛川町 大矢孝酒造

【3人酒 全5回の①】

 仕事絡みの付き合いがあったAさんとBさんが機を同じくして会社を退任するという。Aさんとは10年、Bさんとは7年ほどのお付き合いだった。最初のころは、本当に仕事の付き合いだったが、そのうち、飲みの付き合いとなった。飲みの付き合いになってから、関係が濃くなった。ともに楽しい酒。お二方には本当にお世話になった。

 退任ということで、送別会を兼ねた「3人酒」を催した。場所は、わたくし行き着けのK居酒屋。送別会といっても仰々しいものではない。いつもとまったく同じスタイルの飲み会。単なる飲み会。ナチュラルでいい。

 酒の選択はわたくし。酒メニューを開く。しょっちゅうここで飲んでいるから、あらかた飲んだことのある酒ばかり。その中で、以前から気にはなっていたが飲む機会がなかった「昇龍蓬莱」があった。よし、これからだ。もちろん、ぬる燗。

 「おっ!」。わたくしが声に出して反応する。「酸味強くて大好きだあ。甘酸っぱい、ああ、うめぇ~」。これを聞いたチー女将のYちゃんが「良かった、酒蛙さんの好みで」。「あまり重くないけど、軽くもない。適度な辛口で、コメの旨みがふくらむよ。ストライクど真ん中だよ」とわたくし。一番バッターから旨い酒で、テンションが上がる。

 Bさんが面白いことを言った。「この酒、洋風だね~」。すかさず、Aさんが反応する。「洋風とは思えんけどなあ」。「酸が強い酒なので、ワインを燗したような印象を受けたんじゃないかなあ。だから洋風とおもったんじゃないかな」とわたくしがフォローすると、Bさんは「そうかなあ」。Aさんが「そういうことにしよう」とまとめる。チー女将のYちゃんが、このやりとりをにこにこ笑いながら聞いている。一帯が、なんだかやわらかい空気に包まれている。いい感じだ。

 Bさんが言う。「俺、酒の味なんて、どうでもよかったんだけど、この人(酒蛙のこと)と飲むと、酒の味を気にしちゃうんだよね」。「いいではないか、いいではないか」とわたくし。

 それにしても酸が強い酒だ。そう言いながら、一升瓶の裏ラベルのデータを見てみる。見て仰天した。酸度がなんと2.0。ほとんど上限に近い酸の強さだ。「わ~~!!!最高級ランドCだあ」とわたくしは叫ぶが、これはちと古過ぎる言葉だなあ。と反省。いまの体操は、Cをはるかに超える難易度なのだ。

 自称あまり酒を飲まないAさんが、すごいことを言った。「辛口度(日本酒度)がけっこうある(+5)酒だけど、酸がもっと強いから、飲むと甘さをちょっと感じるのだろうかね。酢にも酸度数があるんだ。この酒の酸度2.0はすごいよ」。聞くと、Aさんは、料理についてのウンチクがすごいんだとか。さすがのコメントだった。この文章を書くにあたって、自宅にあるミツカン酢の裏ラベルを見たら、なるほど「酸度4.2%」と書かれていた。すごい。モノをひとつ覚えた。

 ところでK居酒屋の酒メニューの、この酒の説明文を見たら、以下の記述。「今夜はディスコティック!きらきら輝くミラーボールの下でソウルダァーンス」。なんのこちゃ、だ。

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酒蛙