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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【256】酒一筋 赤磐雄町 純米大吟醸(さけひとすじ、あかいわおまち)【岡山】

2010.9.13 19:29
岡山県赤磐市 利守酒造
岡山県赤磐市 利守酒造

【Jさんとの二人酒 全8回の②】

「雄町」シリーズのトップバッターとして、個性的な「十八盛」を楽しんだ後、Jとわたくしたちの前に登場したのが、「酒一筋 赤磐雄町 純米大吟醸」。酒一筋といえば「かたつむり」が有名だが、この酒も知られるところだ。

 このラベルを見て、Jもわたくしも「おおっ、赤磐雄町ではないか」と口をそろえて期待感。酒米の王者といわれている山田錦は、兵庫県の播州産が一番人気。そして、雄町は、岡山県の赤磐が発祥の地で一番人気。その雄町なのだ。オマチスト(雄町酒が好きな人という新造語)のわたくしとしては、泣いて喜ぶ。

 M居酒屋の店主が、「十八盛」のあとに、なぜこれを出したのか。あるいは、この酒の前に、なぜ「十八盛」を出したのか。なぜだろう、とおもいながら飲んだら、すぐ店主の意図が分かった。

 酒蛙「十八盛より、旨みと丸みを感じる。酸が強い。十八盛同様、愛想が無く、武骨っぽい味わい。でも、いいんだな、これが。好きだなあ」
 店主「へ~、そうですか」(どうやら、わたくしと店主の感想は違うようだ)
 J 「後口に酸味がぐっとくる。かなり酸味がある。酸が強いなあ」(たしかに、公表している1.3より、かなり強く感じる)
 酒蛙「十八盛より、味が膨らむ。表現できない独特で複雑な旨みを感じる。奥に若干、昭和レトロ感的熟成感的クラシカル香味がある。これは十八盛と同じだね」

 話を戻す。店主はなぜ「十八盛」⇒「酒一筋」の順で出したのか。「酒一筋」の方に味の膨らみがあるからだ。もし「酒一筋」の後に「十八盛」を飲むと、「十八盛」の良さが失われる恐れがあったからだ。「十八盛」⇒「酒一筋」の順で飲むと、両方の良さを堪能できる、店主は、そう考えたのだ。

 この酒の一升瓶の裏ラベルに、「今、何故、赤磐雄町米なのか?」というタイトルで、蔵の主張が書かれていた。蔵が、いかにこの米にこだわっているか、が分かるので、以下に転載する。

「日本酒の旨さは、原料米で決まります。『赤磐雄町米』は山田錦等の酒造好適米の先祖にあたり、大粒で心白が大きく軟質で麹のはぜこみが大変よく『酒米の帝王』と呼ばれていましたが、農業の近代化、機械化につれいつしか『まぼろしの米』と酒造家から呼ばれるようになりました。赤磐郡赤坂町は、昭和初期まで赤磐雄町米の栽培の中心地であり、岡山県東南部に位置し、温暖な瀬戸内気候で、なおかつ風水害もほとんどありません。また、水は吉井川水系砂川(周囲の山林を源とした)の清流を水源とし、土壌は、大部分が花崗岩の崩壊した沖積土で細かな礫が含まれ、土粒が粗いという特長があり、したがって、根が地中深く伸び、背丈が160cm以上にもなり、これが赤磐雄町米の栽培に適す重要な要因なのです。利守酒造は赤磐雄町米栽培の中心地にあり、農家と栽培契約を結び全国№1の使用実績を誇っています」

 蔵のホームページを開いて驚いた。ホームページで一番目立つゴールデン・ポジションは、サイトトップ画面の左上。その場所に、「蔵元一押し」というコーナーがあり、1点、この酒を紹介しているのだ(【注】2010年9月13日当時のこと)。数ある「酒一筋」の商品ラインナップの中で、この酒がイチオシだったのだ。その紹介コーナーで、次のようにこの酒を紹介している。

「利守酒造、代表銘柄の一つです。幻の米と呼ばれる軽部産”雄町米”を使用し、精魂込めて醸した純米大吟酒です。口中で広がる”雄町米”ならではの旨味をご堪能下さい」

 酒名「酒一筋」の由来について、日本の名酒事典は「明治元年創業。酒名は一生涯、酒造りに打ち込むという信念からつけられた」と説明している。

【備考】
この記事は2010年9月13日に初公開、その後一部加筆されました。

酒蛙